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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[44]５月２０日(沖田)

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今日は午後から真選組定例会議がある。

局長・副長を始め、各隊長が出揃う、月１の行事だ。

しかしいつものダルイ話し合いと違い、今回は皆息巻いて大広間に集結している。

何故なら、来月行われる【真選組・特別警戒デー】の一日局長を誰に頼むかが決定する、それはそれは重要な会議だからだ。

前回は近藤さんたっての希望で、[お通ちゃん]の愛称で知られるアイドルの寺門通に来てもらった。

さて今年は誰に決まるやら…

まぁ俺が推薦するなら[あの人]しかいやせんがねィ。

[あの人]に来てもらう為、俺は虎視眈々と策を練った。

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｢え～、今年の【特別警戒デー】にも、どなたか有名・著名な方を一日局長にお迎えする予定なのだが…

やはり今年も適任者は国民的アイドル・お通ちゃんを置いて他にいないよなぁ。｣

開口一番、局長が職権を乱用し、自分のお気に入りであるお通ちゃんを起用しようとした。

｢そうはいくか｣と考えていた輩は、次々に異論を唱える。

｢エェ～、国民的アイドルっていうなら、やっぱ【過通運】でしょ!?

男前の白西君が呼び掛ければ、街は一気に平和がもたらされるはずですよ！｣

華蓮さんは自分の贔屓にしているアイドルグループを引き合いに出した。

その目はキラキラと少女マンガのように煌めいている。

｢いや、ダメダメ。

アイドルなんて甘ったるい連中呼んだくらいじゃあこの街はおさまらねェよ。

ここはやはり【えいりあんvsヤクザ】の竹内刀だろ。｣

横槍を入れたのは、ヤンキー漫画とヤクザ映画が大好きな土方だった。

｢竹内アニキなら『なんぼのもんじゃーい!!』や『十一(トイチ)やからなー!!』みたいなキメ台詞もあるだろ。

ホレ、これでかぶき町も締まるってもんよ。｣

そんな人呼んだら、ビビって誰も見になんか来てくんねェよ。

むしろ｢アニキを警戒しろ｣って話しになりまさァ。

それからも、あーでもない、こーでもないと沢山の名前を挙げ連ねたが一向に決まる気配はない。

よし、期は熟した。そろそろ作戦決行するとしますかィ。

｢皆さん、熱く討論してお疲れでしょう。

ちょっとコレでも食べてクールダウンしてくだせェ。｣

俺はあらかじめ購入しておいた果物をまな板に乗せ、皆の前で真っ二つに切った。

はじめは珍しげにこの果物を見ていた皆だったが、次第にコイツの強烈な悪臭に騒ぎ始めた。

そう。何を隠そうコレは、果物の王様・ドリアンである。

｢ほ～ら、世界一の味と香りをた～んと召し上がれェ～。｣

まな板を持って大広間を一周すると、皆が鼻を押さえてのたうち回り始めた。

｢み…皆、早く…早く襖と窓を閉めるんだ!!

このままでは屯所中にこの悪臭が充満する。

そうならない為に、被害を最小限に押さえるんだ!!｣

皆はティッシュで鼻詮を作り、一斉に戸という戸を全て閉じた。

｢そ…総悟、お前は平気なのか？｣

しゃがみこんで吐き気を催しながら、近藤さんが聞いた。

｢平気でさァ。

昨日から風邪気味で、鼻が詰まってるんで。

ところで、一日局長の件ですけど…

俺、高橋名人に来て欲しいんスよね。｣

パニックのどさくさに紛れれば上手くいくのではと考えた俺は、ここぞとばかりに尊敬するハドソンの名ファミコンプレーヤー・高橋名人を推薦してみた。

しかし

｢イマドキ高橋名人はナイわ。｣

｢アイツのキメ台詞なんて『ゲームは一日一時間！』とかぐらいだろ。ダメダメ。｣

｢来て何すんの？

スターソルジャーの１６連射??｣

と、風当たりは散々だ。

まぁ俺としてはそれも想定の範囲内なので、それなりの対策も練ってある。

｢あ～俺、熱上がったのかも。

なんか暑いなァ～…っと。｣

俺は大広間の一番大きな襖をスパンッと勢いよく開けた。

すると皆は悲鳴を挙げ、局長は半泣きでこう言った。

｢ダァァァ～ッ！わかった、わかったから！

今年の一日局長は高橋名人に決定するからァァァ!!｣

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