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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[41]７月１１日

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屯所の食堂で、みんなと夕食を摂る。

しかし相変わらず総悟君は箸を付けようとしない。

近藤さんが箸で口まで運んでやっても、首を横に振るばかり。

｢全く…困ったわねぇ。

総悟君だけでなく、どうやら万事屋の神楽ちゃんも食欲不振らしいですよ。
銀時も困っててね。

……あら、総悟君！？｣

私の言葉を聞いた瞬間、総悟君は突然食堂を飛び出した。

いつも冷静沈着な彼の突発的な行動に心配になった私は、呆気に取られているみんなを残し、追い掛けて行った。

総悟君は玄関にあったゾウリを引っかけ、猛ダッシュで駆けて行く。

目的が何なのかよく分からないが、私は取り敢えず彼を一生懸命追った。

しかしさすがに十代の脚は速く、２キロばかり走ったあたりで見失ってしまった。

困ったなぁ…そう思っている所でケータイが鳴った。

銀時からだ。

息を切らしながら電話に出ると、銀時も同じく息を切らしている。

｢か…神楽が…飯の途中でいなくなりやがったんだよ…

お前どっか…心当たりない？｣

えつ、神楽ちゃんもいなくなったの？

どうなってんのよ…

｢うちの総悟君も食事中に飛び出しちゃって、今追ってたのよ。

どうしたのかしら、二人共。

丁度神楽ちゃんの食欲不振の話しをしてた時だったのよね。｣

すると銀時は驚いたように電話口で叫んだ。

｢そういえばうちも沖田が飯食わねぇらしいって話しをした途端、あいつ、いきなり飛び出しやがった！！

もしかしてあいつら、お互いが気になって…｣

いやいや、それはないでしょう。

だって二人共、会えばいつも殴る蹴るの大喧嘩だよ。

｢実は俺、ちょっと気になる事があるんだ。

最近毎日公園でガキらに混ざって、二人が虫バトルしてるの知ってるか？｣

知っているも何も、部屋で飼ってるどでかいカブトムシを【サド丸】とか呼んで可愛がっているのは屯所内では有名な話だ。
それを連れていつも公園へバトルしに行く姿は、既に習慣化している。

｢神楽、雨が降ってバトルしに行けない日はすごく落ち込んでんだよなぁ。

もしかしてそれって、虫バトル出来ない事より、沖田に会えない事が淋しいんじゃ…。｣

えっ！！じゃあやっぱり
二人共、お互いが心配になって…

｢二人、公園にいるかもよ！

探しに行こう。｣

・―・―・―・―・―・

銀時も私も、ほぼ同時に公園にたどり着いた。

やはり予想通り二人は公園にいた。

私達は草陰で声を潜めて、街灯に照らされている二人を見守った。

｢チャイナ、あんた飯食えなくなって死にそうになってるって本当ですかぃ？｣

｢そ…そんなことないアル！めっちゃ食ってるアル！毎日炊飯器三杯食ってるヨ！！

…そーゆーお前こそ飯食えなくなってるって聞いたヨ。｣

｢お…俺だっていっぱい食ってまさぁ！！

しかしそのわりにはアンタ、痩せたみたいですぜぃ？｣

｢放っといてくれアル。

私はかぶき町の女王ネ。

お前みたいなガキなんかに何が分か…

……わぁ！？｣

あれ？遠くてよく見えないけど、もしかしてあれって…

総悟君が神楽ちゃんを抱きしめてる！？

｢…気になったんでぃ、お前の事が。

だから飯食わねぇって聞いただけで体が勝手に動き出して…

何かよく分かんないけど…｣

｢…私なんかお前の100倍気になったアル！

私の方がお前なんかよりずっとずーっとお前の事が気になったアル！！

だから飯食わないって聞いただけで体が勝手に動き出して…

何かよく分かんないけど…｣

｢何だって！？俺の方が1000倍、もーっともーっと気になったに決まってますぜぃ！！｣

｢あ、間違えた。私10000倍だったアルヨ！！｣

｢いや、俺は100000倍ですぜぃ！！｣

やっぱりお互い両想いだったのか！！

でも今まで自分でも気付いていなくて、今ようやく気付いたのね。

食欲不振は、実は恋患いだった…ってか。

でもお互いの気持ちが通じて抱き合ってるクセに、二人共口ではバトルしてるって…

ホント、ガキなんだから…。

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