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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[34]３月３０日(神楽)

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最近、銀ちゃんが使った後のクッションからオッサンの臭いがする。

朝脱ぎっぱなしでそこら辺に放っているパジャマも、おんなじ臭いがする。

きっと枕カバーもくさいに違いないネ。

こういうのを[加齢臭]って言うって、お昼の健康番組でやってたヨ。

アタシの服と一緒に洗濯すると銀ちゃんの[オッサン臭]がこびりつきそうで、正直嫌アル…。

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華蓮ちゃんがおうちにケータイを忘れて行ったので、定春と一緒に届けに行った。

屯所の門をくぐると、ゴリラがお庭で刀をブンブン言わせて素振りしていた。

｢おぉ、チャイナさん。

いらっしゃい！｣

私に気付いたゴリが、素振りをやめてこっちに歩いて来た。

今日は暖かいからか、ゴリは上半身裸で、その身体からは汗がダラダラ噴き出している。

一歩一歩近寄るにつれ、だんだんと銀ちゃん…いや、それ以上のオッサン臭が漂ってきた。

｢嫌っっっ！

臭いアル!!

ゴリも銀ちゃんも臭いアルよ!!

不潔ヨ!!｣

アタシは思わずケータイをゴリに投げつけてしまった。

ゴリは驚きと悲しみに満ちた表情でアタシを見てた。

｢…ごめんなさい…アル｣

別にゴリが嫌いなわけじゃない。

だけど言葉の引き出しからはそれだけしか出て来なかった。

・―・―・―・―・―・

夕方華蓮ちゃんが帰って来た。

｢神楽ちゃん、今日はケータイ持って来てくれてありがとね。

助かったわぁ！｣

そう言いながら華蓮ちゃんが脱いだ制服の黒い上着から、フッと例のオッサン臭がした。

えっ！まさか華蓮ちゃんも臭うの!?

ウソ…女の人からは絶対臭って欲しくない臭いアルよ…。

｢もぅ、今日は本っっ当に疲れたわ！

本庁の会議室で四時間もオッサンだらけの会議だなんて…あ～オッサンは臭くてヤダヤダ。｣

あ、なんだ。

会議室のオッサンの臭いが染み付いたのか。

良かった。

ん？だけどおかしいぞ？

｢華蓮ちゃん、『オッサンだらけの会議は臭くて嫌』って言ってるけど、銀ちゃんもオッサン臭してるアルよ。

一緒に洗濯物洗ったり、一緒のお布団に寝たりして、それはどうして嫌じゃないアルか？｣

すると華蓮ちゃんは天井を見ながらちょっと考えて、答えてくれた。

｢大好きな人の臭いは、だんだんいい匂いに感じられてくるの。

大好きなら、オッサン臭もアロマテラピーみたいに落ち着く香りになってくるもんよ。｣

それは一種の洗脳か!?

いや、中毒なのか!?!?

どちらにしろ嫌アル。

今アタシの目の前でクッションの臭い嗅いでウットリしている華蓮ちゃんには悪いけど、いくら大好きな人でもオッサン臭までは好きになれないアルよ。

そんな事を考えていたら、急に電話をかけたくなってしまった。

｢もしもし、沖田アルか。

今から公園に来い。

…お前の匂い、嗅ぎたくなったアルよ。｣

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