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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[32]４月２９日

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毛虫の毛針による顔の腫れが、ようやく引いた。

この一週間は｢さすがにその顔で外には出られないだろう｣と皆が私に気を使ってくれ、ずっと内勤をさせてくれていた。

ホント良い子だね、あんた達…(泣)。

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外勤復帰早々、大仕事が舞い込んだ。

かぶき町のキャバ嬢からのタレコミで、今夜キャバクラ『らんでぶー』で、よそから勢力をのばしてきた暴力団・山本組がこの街の老舗暴力団・会田組を襲撃するという話が真選組に伝わって来たのだ。

古参団体と新参団体のシマ争いらしい。

話しによれば飛び道具も所持しているとか。

かなり危険な任務の為、局長を始め、副長・隊長クラスだけが出掛ける事となった。

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夜８時。
私服に着替えた局長らが、キャバクラの各テーブルに配置される。

場所柄、一応酒を飲むフリはするが、実際にはノンアルコールの物を用意している。

私はというと…

｢キャバクラに来る女の客など普通いないだろう｣

という理由で、何故かキャバ嬢に扮して他のお客に接客している。

源氏名は【はなこ】。

化粧もいつもの５割増し派手に施され、ミニ丈の着物を着せられた。

これ、ホントに真選組の業務の内なの？

それぞれ楽しんでいるフリをしながらも来店する客の様子を観察していると…

来た。襲われる側の組長・会田だ。黒服のボーイに目配せをし、私を組長の席に配置させた。

ここの常連である組長は新入りの私を目敏く見つけ、

｢お、背のデカイ姉ちゃんが入って来たなぁ。

この店、ニューハーフも入れるようになったんか？｣

と肩を抱いて来た。

相手の組長が来る前に、私がコイツを襲撃するかも…。

拳を握りしめる私に、向かいのテーブルに座っている局長が『落ち着け！！』とジェスチャーする。

待つこと約３０分。

ついに相手側の組長・山本が来店した。
後ろには数十名の組員を従えている。

真選組メンバーに緊張が走る。

山本はゆっくり階段を降り、店の広いフロアーに立った。

｢会田組の組長はどこじゃい！？

山本組が始末に来たったぞコルァ！！｣

と叫んだ瞬間、後ろの組員と会田組の組員がワッとフロアーに走りだし、大乱闘の火蓋が切って落とされた。

同時に真選組も立ち上がり、次々と襲いかかるチンピラどもを投げ飛ばし、手錠を掛ける。

しかし互いの組長はその騒ぎをよそに、テーブルを挟んで静かに睨み合っている。

その空気の重さに耐えきれず、同席していたキャバ嬢が立ち上がって逃げ出そうとした。
すると…

｢邪魔じゃ、ボケ！！
どかんかい！！｣

｢！！｣

ズガンという銃声が響き、山本がキャバ嬢の腹を拳銃で撃ち抜いた。

しまった！！
キャバ嬢達には｢絶対席を立つな｣と指導していたはずなのに…！！

私は二次被害を抑えようとテーブルの上に立ち、相棒【百華】を手に

｢真選組だ。

山本組、及び会田組。

器物破損、銃刀法違反、殺人未遂の容疑で逮捕する。

神妙にお縄につけ。｣

と警察手帳を見せた。

｢お前、真選組だったんやな…ふふふ。

すっかりニューハーフやと思い込んでだまされとった…わ！！｣

油断した。
意外にも、会田組の組長が私の後ろから肩を撃ち抜いたのだ。

｢…ック…｣

痛みと多量の出血で意識が遠退きながらも、私は懸命に【百華】を振った。

私の目の前で、会田組長と山本組長が床に崩れ落ちるのが見えた。

それが最後の記憶となり、私は意識を完全に失った………。

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