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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[30]３月１日(山崎)

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攘夷志士達の活動は、水面下で日に日に過激性を増していると聞く。

今日も｢その動向を探れ｣と副長命令が下った。

俺は以前、桂率いるグループに潜入しようと採用試験を受験した事があるが、入隊には至らなかった。

そこで今回は作戦を変え、女装で攘夷志士に近付く事にした。

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｢男のオトし方ァ～!?

簡単よ、んなもん。｣

この美貌でもって現在まで男をオトしまくってきたであろう華蓮さんに、[男の口説き方]を教わりに来た。

攘夷志士とお近付きになり、情報を聞き出す為だ。

華蓮さんは女子隊長室の座椅子にもたれ掛かり、だらしなく足を放り投げ、話し始めた。

｢とりあえず会話中は目を見る。

コレ基本中の基本ね。｣

なるほど。

[目を見て話す]…と。

一言一句逃さぬよう、必死で手帳にメモを取る。

｢で、目が合ったらすぐ逸らす。

この時ちょっとだけ顔を赤らめると、効果が上がる。｣

そうか。

[恥ずかしそうに顔を背ける]…か。

｢会話中、聞き手に回る場合は、相手の言葉尻をオウム返しする。｣

オウム返し？何故そんな事を？

｢例えば相手が『今日の会議は疲れたよ。』と言えば、『そう、疲れたの。』と返す。

そうする事により、『あ、コイツ俺の事分かってる』となり、心を開く…というワケ。｣

そうか。

確かに｢そうなんだ。｣だけでなく、言葉を繰り返される事により、｢聞いてくれているな｣と実感できる気がする。

それが対女の子だとなおのことだ。

[オウム返し]。よし。

｢次に、物を取る時は物から遠い方の手で取る事。｣

え、わざわざ遠い方の手で？

｢自分の身体や動きを、相手の目に焼き付ける時間を一瞬でも稼ぐ為よ。

それに、女の子特有の多少の不器用さも演出出来るわ。｣

なるほどそうか。

そうする事で自分のかわいい仕草の余韻を脳裏に残せるってワケだな。

[遠い方の手で取る]…っと。

｢あとは、そうね…

香水は出来るだけいつも同じものをつける。｣

香水か。

色々つけてみたいけど、ダメなのか。

｢いつも同じものを身につける事で、相手に『この香り＝○○ちゃん』という印象をインプットさせるの。

そうするとまた別の場所で似たような香りを嗅いだ時に記憶がよみがえり、『○○ちゃんに会いたいな…』となるワケさ！｣

そう言って華蓮さんは小指で鼻クソをほじった。

そうか。普段こんな事してても、テクニックでいくらでもカバー出来るっつー事か。

怖ぇな、女って…。

｢あとは、そうね～…

『△△さんの手っておっきいんですね～』かな。｣

手の大きさを褒めてどうするんだ？

そんなの褒められたって別に嬉しかないよなァ。

｢で、『私、あんま大きくないんですよね～…ホラ。』っつって、手のひら同士を合わせる。

そうやって自然にボディタッチに持ち込むの。｣

おおぉ！

これなら[いかにも]なイヤラシさは無い上、ごく自然に相手の懐に滑り込む事が可能となる!!

さすが百戦錬磨と語り継がれる華蓮さんだけあるなァ。

｢まぁ、さしむきはこんなもんかな。

何か他に質問ある？｣

｢いえ、これだけ御教授いただければ十分です。

ところで

やはり万事屋のダンナもこのテを駆使してオトしたんですか？｣

｢あ、アレ？

アイツは単純だから、こんな手の混んだ事しなくても勝手にオチた。｣

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