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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[29]２月２０日(近藤)

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｢失礼しまーす。

局長、ゴミ箱のゴミを回収に来ました。｣

ザキが[かぶき町指定ゴミ袋]と書いた大きなビニール袋を下げ、部屋にやって来た。

真選組屯所では週に一度、こうして当番の者が各部屋を回り、ゴミを回収するのだ。

しかし今日は指定ゴミ袋以外にもう一つ違う袋を持っているようだ。

｢ザキ、その袋って何？｣

側に寄り袋に手を伸ばすと、ザキはビクッと身体を震わせ、後ろに隠した。

｢何だよぅ～、何で隠すんだよぅ～。

…あっ！

さてはどっかの部屋で、健全な青少年の聖書、エロ本でも貰ったか!?｣

まだまだ純粋な青臭いガキをからかうのは面白い。

ザキはすぐさま顔を真っ赤にし、必死の形相で俺に刃向かって来た。

｢ちがっ…違いますよォ!!

そんなんじゃないですよ、ホラ!!｣

ザキは袋の中身を開いて見せた。

中にはキレイにラッピングされた箱が、ゴロゴロとひしめいていた。

バレンタインチョコ…

｢…土方さんや沖田さん、それに華蓮さん達の余り物ですよ。

『食いきれないからやるよ』って。｣

食いきれない程貰ってんのか、アイツら。しかも女性の華蓮さんまで…。

トシや総悟は整ったルックスを持ち合わせている為、花街の女性達の間で絶大なる人気を誇っている。

屯所のポストにもしょっちゅう熱烈な恋文が届く。

しかし二人ともそれらに惑わされる事はない。

知らん顔で焚き火にくべてしまう。

そんな事されたら、俺だったら心折れちゃうかもしんないけど、女性に言わせると｢そのクールなところがステキ｣らしい。

華蓮さんに至っては、女性からはもちろん、既婚者ながら男性からもチョコが届く。

｢局長は余って…ないですよね。

だから見せたくなかったんです、この袋。｣

ザキはゴミ箱を逆さにし、コンコンと底を叩いてゴミを回収し、襖を開けた。

｢いやぁ～そうか～。

余ったらザキに持ってってもらえば良かったのかァ～。

しまったなァ。

置き場に困って、お寺の子供達に全～部やってしまったよォ～。

アッハッハッハッ…｣

ザキは、強がりを言う俺を可哀想な生き物を見るかのような目で眺めていたが、黙って襖を閉じ、部屋から出て行った。

近藤勲、いつか俺もあの袋にチョコを入れられる日は来るのでしょうか…

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