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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[27]２月１４日(神楽)

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今日はバレンタインデー。

だから沖田にチョコレートやろうと思って、昨夜華蓮ちゃんと一緒に手作りチョコ作ったヨ。

なのにアイツ、

｢今日は日勤の後、そのまま夜勤だから。

じゃ。｣

って、それだけ言って電話切りやがった。

せっかく頑張って作ったのに。

めっさおっきいハート型だし、かわいいリボンも付けたのに…。

｢照れてんのよ、総悟君。｣

華蓮ちゃんはそう言うけど、そんな事ない。

アイツはいっつも優しくないアルよ。

アタシの事なんかホントは好きじゃないアルよ。

あんな男、駄目駄目アルよ!!

・―・―・―・―・―・

｢銀ちゃん、男はみんなチョコレート欲しいもんなんじゃないアルか？｣

ソファーで寝そべってジャンプ読んでる銀ちゃんに聞いてみた。

｢そりゃーおめェ、要らねェって奴はいねぇだろよ。

よっぽど『勘違いされちゃ困る』って相手じゃない限り、欲しいもんなんじゃねーの？みんな。｣

そうなのか。

じゃあチョコレートいらない沖田は、私の事…

｢…どうしたょ、神楽？｣

急に黙り込んだ私を心配したのか、銀ちゃんがジャンプから目を離し、ソファーから起き上がった。

｢…沖田は、いらないって。｣

｢……｣

銀ちゃん困った顔してるヨ。

｢…捨てて来るアル。

どっか遠くに捨てて来るアルよ。｣

アタシは定春にまたがった。

右手に傘、左手にチョコ持って。

｢定春、ちょっとお散歩行くネ。｣

・―・―・―・―・―・

お日さまが沈み始めた。

そろそろどっかに捨てなきゃ。

でも一生懸命華蓮ちゃんと作ったのに嫌だな。

いっぱい歩いて定春も疲れてきてる。

早いとこ、どこでもいいから捨てよ。

どこに捨てよっかな…

あーもー、いいや。そこら辺に捨てちゃえ!!

アタシの前から消えちゃうように、出来るだけ遠くに飛んで行くように、ブッ飛んで粉々になっちゃうように、アタシは大きく振りかぶった。

｢オイ、ちょっ…待てコラ！

そこのチャイナ娘!!｣

後ろから声がした。

誰の声かはすぐ分かった。

でも悔しいから、すぐは振り向かなかった。

そのまま前向いてつっ立ってた。

右手にチョコ、左手に傘持って。

足音が近付いて来たのも分かった。

でも悔しいから、すぐは振り向いてやるもんか。

｢何こんな時間までほっつき歩いてんでィ。

万事屋のダンナから捜索願いが出てますぜィ。｣

昼間の電話と違って優しい声のヤツに、ちょっと嬉しくなっている自分に腹が立つ。

すごく振り向きたい。

でも意地がそれを邪魔する。

｢…お前、夜勤じゃなかったアルか。｣

思ってもいない憎まれ口を叩いてしまう自分に嫌気が差す。

これじゃあホントのホントに嫌われるに違いない。

出来る事なら今すぐ振り向いて、走り寄って抱きつきたいのに…!!

｢その手に持ってんの、こっちによこしやがれィ。

そしたら遅くまで歩き回ってた事も許してやりまさァ。｣

優しい言葉が欲しかったんじゃない。

ヤツに会いたかっただけ。

それだけ。

｢沖田！

しょうがないからコレ、お前の口ん中に捨ててやるアルよ!!｣

今度は後ろを向いて大きく振りかぶった。

・―・―・―・―・―・

…ピーッ

『…あれ？留守電になってる。

誰もいないの？

えーっと…私、今晩急に夜勤に入る事になりましたのでェ。

みんな、ちゃんと戸締まりお願いね。

それと神楽ちゃんは…

仲良くしなさいよ。』

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