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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[26]３月３日

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今日は桃の節句
お雛祭りだ。

数日前から私の机上にも小さな雛人形を飾っている。

しかし未婚の女性は節句過ぎたら雛人形をソッコー片付けないと

……婚期が遅れるらしい……

かわいい雛人形はたった一晩で、一気に女を地獄に貶める、最強極悪人形に早変わりするのだ。

クワバラクワバラ。

私の母が今まで雛人形を早く片付けてくれていた事を祈るばかりだ。

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午後の市中見廻りに出掛ける。

春の陽気に思わず鼻唄がこぼれる。

公園の前を通ると、赤ちゃんをベビーカーに乗せて散歩するお母さん、公園デビューしたばかりでお友達との遊び方がイマイチ分からないおチビちゃん、キャッチボールする寺子屋の子供…それぞれに春を満喫している様子だ。

しかし、公園の隅には泣いている５人の子供がいた。

側には棒キレを持った、見るからに『悪ガキです』な男の子達。

｢コラ、何してんの。

泣いてんじゃんよ、この子達。｣

突然の真選組登場に驚き、悪ガキ団は蜘蛛の子を散らすように退散した。

座り込んで泣いている５人組に訳を聞こうと、私も隣にしゃがみ込んだ。

すると私が話し掛けるより先に、１０歳くらいの男の子が口を開いた。

｢ねぇ、オバサンって真選組の人でしょ！？

だったら近藤のおっちゃんのとこ、連れてってよ！！｣

『オバサン』という響きにちょっぴりハートブレイクしたので、一発ガキの頭を殴っておいた。

余計泣いた。

私も泣きたい…。

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近藤局長の元へ連れて行く道すがら、子供達から事情を聞いた。

この５人は孤児で、お寺の住職に引き取られて暮らしているという。

子供好きな局長はそんな淋しい子供達を放っておけず、非番の日には必ず遊び相手に行っているらしい。

局長になついている子供達は、訳あって今日どうしても局長に会いたいのだという。

｢おぉ、よく来てくれたな！！

さぁ、お部屋においで。
一緒におやつを食べよう。｣

屯所で子供達を出迎えた局長は、目尻を下げながら部屋へ招き入れる。

子供が好きで好きでしょうがない、といった表情だ。

｢今日はどうした？
みんな元気がないじゃないか。｣

私が注いだｼﾞｭｰｽを配りながら、局長は心配そうにうなだれた子供達の顔を覗き込む。

するといちばん小さな女の子が、一枚の紙を差し出した。

ゴツゴツとした大きな手でその紙を受け取り、開く。

【春休み　親子ドッヂボール大会】

｢…あのね、
いっつも寺子屋の参観日も、親子遠足も、運動会も…私達だけ【お父さん】と【お母さん】が来ないの。

和尚さんは【おじいちゃん】だから【お父さん】じゃないし…。

今日もこのプリントを寺子屋でもらってお寺に帰ろうとしたら、あいつらが『お前らのとこはどうせまたジィサンしか来ないんだろ』って…｣

また子供達がシクシクと泣き始めた。

｢そうか…それはかわいそうにな。

でも俺らではどうしてやる事も…｣

｢でね、『僕達の両親は真選組にいるんだ』って言っちゃった！！｣

｢｢お前らアホかァァァ！！｣｣

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