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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[112]６月２８日(華蓮)

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出産に備え、髪を少し短めにする事にした。

命懸けの作業である出産に、長い髪は正直うっとうしいからだ。

ずっと長めのウルフヘアーがお気に入りで、髪結い処ではそればかりオーダーしていたけれど、今回は久々のショートヘアーにする予定だ。

どんな風にしようかな…

大きなお腹をせりだしながら、商店街にある馴染みの髪結い処へ向かった。

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｢あら華蓮さん、いらっしゃい！

まぁまぁ、もうこんなにお腹が大きくなって…。｣

長い付き合いであるオカマの店長が、私の前にしゃがみ込み、お腹をさする。

｢もうすぐ会えるのね、赤ちゃんに。

じゃあ素晴らしい御対面にするためにも、とっておきの髪型にしなきゃね！

今日はアタシに任せてちょうだい♪｣

腕を信頼する店長の言葉に頷き、髪型のプロデュースを委ねる事にした。

・―・―・―・―・―・

｢…さん、ちょっと華蓮さん！

起きてってば！！｣

｢あ…あぁ。ウン。｣

私は店長の呼び声と、バシバシと叩かれた肩の痛みで目を覚ました。

どうやら頭をいじられている最中に、気持ち良さのあまり居眠りしてしまっていたらしい。

｢ほら、お待たせ。完成よ！

どう？赤ちゃんをお迎えするに相応しい髪型でしょ♪

名付けて、【天使の微笑み】！！｣

店長に促され、私はまだ意識のハッキリしない虚ろな目を鏡に向けた。するとそこには…

｢ね、ショートのクリンクリンパーマで、かわいい天使ちゃんでしょ！｣

しかし鏡中には自信たっぷりの店長の言葉を逆行する、天使などとはほど遠い、頭が倍に膨れ上がったアフロの私がいた…。

・―・―・―・―・―・

店長曰く、ヨーロッパの天パの天使ちゃんをイメージしたらしいのだが、純然たるジャパニーズである私がやっても、全く別物になってしまう。

｢…ただいま。｣

おかしな頭にされたショックに、項垂れて万事屋の玄関を開けると、たまたま廊下にいた神楽ちゃんと目が合った。

｢あっ、華蓮ちゃんおかえり！って…

何アルか、その頭！！｣

神楽ちゃんは一瞬驚いた顔をしたが、今度は指を差し、こう言った。

｢ドリフの雷様ごっこアルか！？｣

そして廊下をゴロゴロと転げ回りながら、腹の底から大声で笑いやがった。

私は恥ずかしさと怒りにうち震えた。

｢神楽ちゃん、どうしたの？何かおかしな事でも…って…

何ですか、その頭！！｣

今度は神楽ちゃんの声を聞き付けた新八君がやって来た。

やはり新八君も一瞬驚いた顔をしたが、指を差し、こう言った。

｢THE ALFEEの坂崎さんのコスプレですか！？｣

そして神楽ちゃんと共に、私のアフロを涙を流しながら笑いやがった。

お前らなんか、笑い過ぎてチアノーゼになっちまえ！！

｢何だ何だ、騒がしい。
箸でも転んだってか！？

まったく、ゆっくり昼寝も出来ねぇじゃねーかよ…って…

何だ、その頭！！｣

おへそを掻きながら、銀時が奥の間から出て来た。

やはりコイツも驚いた顔をし、同じく指を差し、言いやがった。

｢サイババ！？｣

そして例にならって、三人仲良く呼吸を乱すほどに、廊下でのたうちまわって笑った。

｢キライだ、あんた達なんか…。｣

私はヒィヒィ笑う彼らに向かって、呟く事しか出来なかった。

うちの家族でさえこうなんだ。

明日出勤すれば、これら以上の冷たい風にさらされる事であろう。

土方さん、それに総悟君…

溜め息をつくと、お腹の子供がグニュリッと表面を蹴った。

｢♪…こんにちわ～赤ちゃん…
私が…ママ～…よ…

なんて名乗られたら、お前も笑うんだろうね、きっと…。｣

赤ん坊の足であろう出っ張りをさすってやると、またグニュリッと引っ込んで行った。

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