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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[103]３月３０日(新八)

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｢いやいや。

やっぱ手塚君でしょう、神楽ちゃん。｣

｢いやいやいや。

やっぱり大石アルヨ、華蓮ちゃん。｣

リビングのソファーに腰掛けて、華蓮さんと神楽ちゃんが観ているのは、【テトリスの王子様】というアニメの再放送だ。

イケメン中学生が毎日テレビ画面に向かい、テトリスで共に爽やかな汗を流し、様々な技を編み出し、磨きながら全国大会を目指す…という、少年マンガながら女性にも人気のあるアニメだ。

二人はその登場キャラクターについて熱く論議を交わしているのである。

そのような事にあまり興味の無い銀さんは向かいのソファーでふて寝をし、僕はその傍らで雑誌を読んでいる。

｢私って昔から、クールで仕事の出来る男(ひと)が好きなのよね。

さらにメガネでネクタイなんていうオプション付きなら、も～見ただけで妊娠しちゃう!!

手塚君はまさにそのタイプなのよ。｣

よく言うよ。

そのわりにはあんたの結婚相手、お調子者のダメ男じゃないか。

｢う～ん…仕事の出来る男は確かにカッコイイけど、ハートウォーミングじゃなきゃ駄目アルヨ。

その点大石は副キャプテンとして温かく部員を見守ってくれて、おまけに仕事も出来る…まさにウォームビズね。｣

神楽ちゃん、熱く語っていただいたところ大変申し訳ないんだけど、ウォームビズの使用法ガッツリ間違ってるよ。

｢あ～甘いわ、神楽ちゃん。

饅頭の蜂蜜漬けくらい甘いわ。

ハートウォーミングな男ってのはね、総じて八方美人なの。優柔不断なの。

だから、スパッとクールに問題解決出来る、そんな男を選ばなくっちゃ！｣

ヘェ～。『スパッとクールに』ねェ。

そういやぁアンタとこのダンナ、結婚するまでは『スパッとクールに』家賃滞納したりしてましたっけね。

｢そっかぁ…

あっ!!でもでも、[みんなの前ではクールな切れ者だけど、アタシと二人きりの時だけはメッチャ優しい]とか、良くないアルか!?｣

｢キャア～良い!!そういうの良い!!

なんか[私だけは特別な存在]～っていう感じするよね～。｣

まーた勝手な事ばっか言っちゃって。

そんで結婚したら『ご近所さんにも愛想良くしてよね！私の立場もあるんだから』とか言うんだろ、きっと。

｢あと、アタシより絶対強くないと駄目ネ。

じゃないとアタシを護れないネ！｣

｢あ、ソレ必須条件！

だって男は護ってナンボ、女は護られてナンボだもんね～。｣

いやいや、真選組の女子隊長に夜兎族だよ。

アンタらに勝てる男はそうそういないって。

だいたい護んなくったって、アンタらこのコンクリートジャングルでたくましく生き延びてるじゃんよ。

｢あ、それと身長も高い方が見栄えがいいアル。｣

｢それは言えてる！

顔が少々イケてなくても、身長があると３割増しカッコ良く見えるもんね。

１８０センチはないとね。｣

あーあーすいませんね。

ボクは顔もイケてない上、身長だって低いですよ。

『背の低いヤツは生きてる資格ナシ』みたいに言うなよ、チクショウ!!

だいたいアンタらの彼氏もダンナも、両方１８０センチ無いじゃねーかよ！

そういうのを[絵に描いた餅]とか[無い物ねだり]とか言うんだよ。

｢つまりそれらをまとめると…

【クールで仕事が出来て、それでいて私にだけは優しくて、スパッと問題解決出来る、強くて高身長の男】

…ってのと結婚するべきなわけよ。｣

｢ヨッシャ、分かったアルヨ！

アタシも早くそーゆー男見つけて、華蓮ちゃんみたいに幸せな家庭築くネ!!｣

おーい華蓮さん、アンタの結婚相手、ソファーでタヌキ寝入りしたままうっすら涙浮かべて肩震わしてんぞー!!

そして神楽ちゃん、アンタ沖田さんはどうしたー!?既にアウトオブ眼中かァァァ～!?

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