第40章


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 まずはペルシアンのもとに行かねばなるまい。ロズレイドにカントー地方のタウンマップを広げさせ、
現在地を調べる。俺達が降り立った場所はハナダの北東、二十五番道路から少し北に外れた位置のようだ。
「随分とまあ、カントーの最果てに捨て降ろされたものだな」まるで密入国者のようでは無いか、
俺はさっさと帰り支度を始めているフローゼルに毒づくように言った。
「実際密航みてえなもんなんだ、仕方ねえでしょうや。ここより南の方は人間の船の往来も激しくなってくるし、
ギャラドスの数も増えるから下手に潜航するのも危ねえ。それに、カントーの南からジョウトの方にかけての海域には、
海の神様が住んでるんだ」
「海の神?」そんな者がいる等という話は聞いたことがない。尋ねるようにそっとアブソルに視線を向けるが、
同じように首を傾げるばかりだ。
「ああ、でっけえ鳥か翼竜みてえな姿なんだと。俺様の爺さんからも、親父からも嫌って程聞かされた。
どんな荒くれ者になろうとも、あそこの海だけは荒らしちゃなんねえってな。俺達ゃ余所者。勝手に上り込んで、
神様もいい気がするわけがねえ。怒った海の怖さは俺様も知っている。例え迷信と笑われようと、
縁起でもないことは少しでもしたくねえのさ」
 真剣な様子でフローゼルは語る。適当に繕った出任せを言っているようには思えない。
本当の神ではないとしても、神格化されるほど強い力を持った何かが実際に潜んでいるという可能性も否定できない。
ペルシアンと鳥達が恐れていた双子島の不可思議な吹雪、その元凶であった氷の怪鳥フリーザーも実在していた。
多少歩く距離が長くなろうと、大人しく陸路を行った方がよさそうだ。

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