〜第2章〜
[03]バスタイム
「なぁーっ!食った食ったぁ♪」
お腹がいっぱいになって満足なハルカ。
レイが煙草に火をつける。
大きく息を吸い込み大きく息を吐く。
「ふーっ…。」
ハルカの視線に気付く。
「どうしたの?何かききたそうな顔してるね。」
「なんでそんなわかるんだ!お前…超能力とか使えるのか!?」
ハルカが少し後退りする。
「残念ながら超能力は使えません。長年の人生経験や、その人の行動、言動パターンを解析した結果です。だから安心してください。君が何考えてるなんてわかりませんよ。」
ハルカが凍り付く。
「どうしました?」
「俺…今考えてる事ばれたらどうしようって思ってたのによまれてた…。お前…やっぱり…」
「…ふふ、面白いですね。さて…お風呂入りますか?」
「……ヤダ。」
「どぅして?」
「風呂は、一人で入るもんだろ!」
「いゃ…そういうつもりで言ったんじゃ…う〜ん…困りましたね。」
思わぬ返答にレイも苦笑いをした。
「お前も…所詮…俺の体目当てなんだろ!」
「ハルカさん……。」
「だからこうして優しくしてるんだろ!言う事聞かなかったら無理矢理…俺を…。」
膝を抱えて座っていたハルカが顔を埋める。
「よほど辛い目にあったのですね…。お風呂も別に2人で入ろうという意味ではなかったのですが…すみません。言葉足らずだったようで。…一つ聞かせてください。」
「なんだよ…。」
下を向いたままハルカが答える。
「一番最近でお風呂に入ったのはいつですか?」
「ん?一週間前には、入ったぞ。後もう一週間はいけるな。」
ハルカが自慢気に言う。
「一週間も……。」
「何でそんなこと聞くんだ?」
「ハルカさんはっきり言います…。」
「ん?」
ハルカが首をかしげる。
「臭いです!!」
レイが言い放つ。
「そうかぁ?」
クンクンと体中の臭いを嗅ぎ始める。
「ハルカさん…一緒にお風呂に入れ。とは、言いませんからお風呂に入ってください。」
少し不機嫌そうにレイが言う。
「ヤダ!!」
顔をプイッと横向けるハルカ。
「そうですか…。」
低い声で言うとレイは、煙草を消しどこかへ行ってしまった。
「怒らせたかな…。」少し反省をしていると他の部屋から水の流れる音が聞こえてきた。レイの足音が近付いて来る。
「行きますよ。」
「どこへだよ?」
「お風呂です。」
「ヤダって言ってんだろ!!」
ハルカがソファにしがみつく。
「あまり…言う事を聞かないのはいけませんね。しつけです。」
そう言うとレイは、ポケットからリモコンのようなモノをとりだした。
「そっ!それは!」
ハルカが青ざめる。
「お分かりですよね?これが何か。」
このリモコンのよぅなものは、ライター程の大きさでアンドロイドを購入したモノが持つ事ができ、言う事を聞かないとボタンを押すと素直になる。人間の場合は激しい頭痛に襲われる。
「わっ…わかったょ。」
そう言いハルカは、風呂場の方へ行った。
「あぁ…いい湯だったぁ。」
そう言う2分も経たぬ間に帰ってきた。
「ハルカさん…嘘をつくならもっと巧妙に…。」
「何がだ?」
「体も頭も濡れてないじゃないですか…。」
「…かわいた」
レイの何かが切れた。
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