第35章
[02]
「それ、どういう意味?」
聞き捨てならないと食って掛かるミミロップに、キュウコンは冷笑を向ける。
「聞けばお前達は己の同一存在ごときに随分とてこずり、散々な負け方をしたそうではないか。
それなのに、お前達は自分を高めようとするでもなく、ただ連れ立って馴れ合おうとするばかり。
足手纏い以外の何者でもない。呆れられても無理は無かろうよ」
返す言葉に詰まり、ミミロップは怒りで顔を真っ赤にしながら押し黙る。
「お前達が選べる道は二つ。ここで無駄な時をただ過ごすか。ここから出ていき、どこへなりと行くか。
前者はできる限りやめてもらいたい。無駄に潰される程、穀に余裕は無いのだ」
「頼まれなくたってこんな所、すぐに出ていってやるわ!」
我慢していた怒りを火山のごとく爆発させ、ミミロップはキュウコンの脇を通り抜けて、床を踏み鳴らしながら部屋を出ていく。
ロゼリアとムウマージも慌ててそれに続いた。
「それはありがたい。そのまま真っすぐ進めば、すぐに外へと出られる。
霧が晴れるまで、決して後ろは振り返らぬことだ。命が惜しくばな」
ミミロップ達が外へ出ると、目の前には周囲を岩壁に囲まれた霧深い湖が広がっていた。
岸を進んで行くと、やがて登れそうな箇所を見つけミミロップ達は岸壁を乗り越える。
その先には鬱蒼とした森が行く手を阻んだが、ミミロップはふつふつと沸き立つ怒りを糧に、
臆することなく先にうっすらと見える明かりを目指して進んでいった。
森を進むにつれて霧は晴れていき、ミミロップ達は目指していた明かりが人工の物――トバリシティの街並だと気付く。
完全に霧が晴れた後、ミミロップは何気なく後ろを振り返ってみる。
すると、今まで確かに歩んできたはずの森は無く、高い崖が立ち塞がっていた。
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