本編「〓Taboo〓〜タブー〜」@
[05]chapter:1-3
シルウァヌスは僕一人…?
違う。
もう一人いた。
しかも今、目の前にいる。
ヴァンはなんて勘違いをしたんだと感じた。
女性の探している『シルウァヌス』を僕だと勘違いした。
いやさしてそんなに問題ではないがよくよく考えたら『シルウァヌス』という名字は本来シリウスのものだ。
『シルウァヌス』なんて名字を使って人を探しているのなら僕であるはずがなかった。
僕は、拾い子だからだ...!
何を舞い上がっていたのだろう。ヴァンは力が抜けた。
女性が自分を探しているということにヴァンは舞い上がってしまっていた。
女性はヴァンの右手を離してシリウスのほうへと向かった。
ほら、やっぱり。
ヴァンは一人自分で自分を恥じていた。
「あなたが、シリウスさんですね?」
「は、はい」
「はじめまして、私はラル=A=ターナーといいます」
シリウスもいきなりのことに動揺しているようだった。ヴァンは立ち上がって学校に行こうとした。
シュバイツはまだ唸っている。
「はぁ、ターナーさん。何用ですか?」
シリウスがそう聞くとラルは間髪を入れず話し続けた。
「私は『ユスティティア』の者です」
「ユ、ユスティティア!?軍の人がなんでこんなところに!?」
ユスティティアと聞いてヴァンは驚いた。
名ぐらいは僕も聞いたことがある。いや知らないほうがおかしい。
ユスティティアとはこの国の「国軍」の名だ。
まさしくシリウスの言った通りだ。
なんでそんな重鎮がこんなチンケな村に。
「今回ここにおもむきましたのは『ユスティティア』への入軍の勧誘でございます」
「か、勧誘?」
驚くしかなかった。兄が国軍に勧誘?笑えない冗談だ。
兄は運動ができるほうではない。国軍どころか郵便配達員にすらなれないだろう。
「そうです。あなたはヴァン=シルウァヌスの保護者の方ですね?」
「は、はい」
「貴殿の義弟(おとうと)様ヴァン=シルウァヌスを我ら『ユスティティア』への勧誘に参りました」
「え?」
「え?」
ヴァンは耳を疑った。
ほんとに笑えない冗談だ。
chapter:1 訪問者
〜to be continued...
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