本編「〓Taboo〓〜タブー〜」@
[38]chapter:10 足切りの正体
外はもう暗くなっているのだろうか。
時計は19時を指しているが、相変わらず外の様子が見えないので夜になった感覚がしない。
ホントに今は19時なのか疑ってしまうほどだ。
エドワードは18時頃に家に戻り、丁度いい時間だったので晩ご飯にすることになった。
テーブルの上にはシチューを食べ終えた皿が三つ並べられている。
ラルはシチューを断り、水だけを頼んだ。
お腹は減らないのだろうか。
マリーはシチューを食べ終えると、学校の宿題があるとかで二階へと行ってしまった。
エドワードはワークデスクの上で義足の調整をしている。
ヴァンは壁に寄りかかるラルの方を見た。
フェイロンの盗難の一件の話をしてから、ラルはずっと考えごとをしている。
もともと無口な方だが、これは喋らなすぎだ。
もしかしてそんなにも重大なことだったのだろうか。
ヴァンは背筋が凍る思いになった。
ヴァンはマリーから聞いた『夢』のことを思い出した。
『パパにも言ってないんだからね。内緒だからね』
あの時のマリーの顔が、頭に浮かぶ。
――言えるわけないじゃん、僕が……
「エ..エドワード...さ、さん..」
いつの間にかラルがエドワードの前に立っていたのも驚いたが、やっと言葉わ発したことの方にヴァンは驚いた。
ヴァンは何故か少しホッとした。
「普通にさん付けで呼んでいい。なんだ?」と、エドワード。
「は、はい。すみません。実は気になったことがありまして…フェイロンという少年をご存知で?」
「フェイロン…?ああ、今日一緒に列車に乗り合わせた子か。リーと同じ『カン』の出身だそうだ。古来の武術だか知らないがやたら強かったな」
「その少年なのですが…」
「ん?」
どうやらフェイロンについての話をしているらしい。
ヴァンは最後に見た、あのフェイロンの表情を思い出した。
別れ間際、確かにフェイロンは笑ったような気がした。
しかし、ヴァンは確信を持てないでいた。
今思えばホントに不思議な少年だった。
そう、ふと考えている瞬間だった。
「キャアアアアアアアー!!!!」
「え?」
「なんだ!?」
二階から突然悲鳴が聞こえた。声が大きすぎて誰だか分からない。
しかし、二階にいる人物は一人しかいない。
「マ、マリー…!」
三人は急いで二階へと向かった。
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