第40章


[71]


「……残念ながらもうカントーにはいないようニャ。カントーとジョウトの間に立塞がるのは、高く険しいシロガネの山脈だけじゃあないニャ。生息する強力なポケモン達、その中でも特に厄介な鋼の怪鳥 エアームド共が多く住み着く鋭い茨の森が、長城のように広く張り巡らされていたのニャ。
余程のツワモノ且つイカれてる奴でなきゃ近づきもしない堅牢な茨の城塞に、何者かが真っ向から馬鹿でかい穴を開け、ひしゃげた鉄屑の山を築いて越えて行ったのが丁度ニ、三年ばかり前……」
 間違いねぇ、マニューラは小さく呟いて、目を鋭く細めた。
「世話になったな」
 礼を言って、マニューラは背を向け歩み出した。
「あっちに行ってからの当てはあるのかニャ?」
「ジョウトの事なら多少は知ってる。心配しねーでもすぐに見つけ出して、始末してやるさ」
 マニューラはひらひらと後ろ手に手を振り、去って行こうとする。
「あー、そうだ」
 その間際、何か不意に思い出したように声を上げ、マニューラが立ち止まる。
「どうしたニャ」
「もし、まず無いとは思うが、シンオウから来る奴が居ても、余計な事は言うんじゃねーぞ。
特にクソ――ドンカラスの野郎にはな」


[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.