第40章


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 陸も空も行けない、残るは海。とはいえ、その海だって安全だという保証は無い。
海の神というのがやはりどうも引っ掛かる。火の無い所には煙は立たぬ。
地方間を繋ぐ定期船があるくらいなのだから、カントーの南の海路は人間の往来が活発だというのは事実だろう。
「でも他にどうするんだニャ? 鳥は出せないし、人間の船は乗れないし、リニアだって止まってるニャ」
 無理矢理鳥を出させても、ロズレイドがロゼリアだった時と違いムウマージだけで運べなくなった以上、
運ぶ鳥の数も増やさねばならず、以前より人目に付きやすくなる。船は乗れない、止まったリニアなど問題外……
いや、まて――
「リニアの線路というのは、カントーまでどのように繋がっているのだ?」
 俺はデルビルに尋ねてみる。
「コガネの中央から東へ向かってほぼ真っ直ぐ、ヤマブキにある駅まで直通なハズだが。それがどうした?」
「うむ。ロズレイド、ジョウト地方とカントー地方の地図を繋げて並べてみてくれないか」
「あ、はい」
 ロズレイドは自身の道具袋から二枚の地図を取り出し、広げて並べる。
俺はコガネの位置をデルビルから聞き、その中心からヤマブキまで指で真っ直ぐなぞってみた。
「真直ぐ通っているなら線路はトキワの付近にも通っている筈だが、それらしきものを見かけたことは無いぞ」
 再びデルビルに目をやる。
「そりゃそうだ、その辺りの線路は地下を通っているからな。人間様の力をナメんなよ」
「どこまで地下が続くのだ?」
「あー、確かシロガネ山脈の内部を通り抜けて、ジョウトの三十番道路と三十二番道路の間くらいからまた地上に――」
 そこまで言って、デルビルは合点がいったという顔をする。


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