第40章
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「見つけたときゃそりゃもう口も利けねえ程に弱っちまってたが、白猫の旦那達の介抱で随分と持ち直してきてるみてえだ。
今頃、意識もはっきりして奴らの逃げ先やら色々と新しい話を聞き出せているとこじゃあねえかな」
あの時、最後までレッドとともに残っていたエーフィが生きていたのなら、他の者達も、レッドだってまだどこかで生き延びているかもしれない。 胸の奥が微かな期待に熱く疼くのを感じる。
仮にもトレーナーの頂点と、そのポケモン達。共にした時間は僅かだったが、そう簡単にくたばるような奴らには見えなかった。
……生きていてもらわなければ困る。あやつは俺が認めた数少ない人間の一人。
返さなければならない大きな借りがある。
「おれっちが伝えられることはこれで終いでえ。後は不躾でわりいが電気ネズミの旦那達にもなるべく早くカントーまで出向いてもらって、直接見聞きしてもらいてえ」
「ああ、言われずともそのつもりだった。すぐにでも発つ準備をする。いいな?」
俺は配下達を、特にミミロップ達を確認するように見やる。ミミロップ達は決意したように表情を引き締め、頷きを返す。
「足の方は任せて下せえ。フローゼルどもにホエルオーを出す用意をさせやす」
言って、ドンカラスは下座にいる薄茶色の被毛をした鼬のようなポケモン達に目配する。
へいへい、とその中で最も体格の大きな一匹が面倒くさそうに返事をした。
「それにしても、自分達と瓜二つの敵とはまた厄介だなぁ……。もしも味方の振りして陣中に潜り込まれて寝首を掻かれでもしちゃたまんねえ。ここは一つ、合言葉か何かでも決めておいた方がいいかもしれやせんね」
「ふうむ、合言葉か……」
確かに俺達とそのコピーどもとは体表の模様などに若干の違いはあったが、本物と並んで見比べられるような状況でも無ければ見分けは中々難しいかもしれない。
コピーどもも紛れ込もうと思えば、そうした差異を卑劣に隠してくるだろう。用心して予め対策しておくに越したことは無い。
「深く考えねえでも、合言葉なんて適当なもんでいいんですぜ。例えば一人が”山”と言ったらもう一人は”川”と答えるとか。
まあ、こりゃあちこちで使われすぎてて、敵さんにもバレバレってもんですが。そうだな、何かいいのねえのか、オメぇら?」
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