新月まだ酔い醒めぬ頃


[02]上弦に西日、降り立つ。


『もって、後、
一週間後には・・・・』



分かっていた。

何処か心の中には、
決心はついていた。

けど、やっぱり怖い

「死」と言う物は。

それだけで、
全てが終わってしまう。
この世界から
「今」、
「僕」の存在が
無くなろうとしている。

理不尽なものだ。
神様がいるのなら、

それは、
ろくでもない者だろう。

肺癌か・・・・


なぁに、失うものは
何も無い。

けど、やっぱり怖い。
すると、
四〇五号室に
一人の患者が・・・

若い女性だ。

高校生ぐらいの・・・・・

手術の終わった後だろう。

目は閉じたままである。

美しい、・・・・・

しかも色白。

はぁ・・・
今さら
この感情を抱いたって
もう遅い。





しばらくすると、

医者達が、ぞろぞろと
四〇五号室にやって来た。


『この子ですか。・・・・』

少女はまだ眠っている。

『もって後、一週間か…』

その言葉は余りにも
突然で
そして、明白だった。
『心臓ドナーは
そう見つからないでしょうね。
しかも、
身内が居ないとなると・・・・』

そうかぁ、
じぁ、この子は僕と同じ運命を
歩んで来たんだなぁ。
急にむなしくなる。

心の隙間から、・・・・・





病室の窓から月が出ている。

まだ綺麗な円は描けてくて。

少し雲が掛かっていた。・・・・・



続く・・・・。


by しょういた つき。


[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.