第28章
[18]
俺の電撃、ピジョンの突撃、どちらも既に一手遅い。電力の補填、距離が届かない……!
青白い鳥の怪光が遂に放たれようとした時、腕輪が急に燃え上がるように熱くなって感じ――。
「ギュアアァァァ――ッ!」
次の瞬間、青白い鳥の体を業火が包んでいた。金切り声を上げて青白い鳥は逃れるようにミミロップ達から離れ、身を炎に焼かれながら地をのたうち回る。
ミミロップは拳に炎を灯しながら、何が起こったかわからないと云う風にぽかんとしていた。アブソルもどこかぼんやりと立ち尽くしている。
「え? ええ? 私はまだ何も……」
一瞬、間をおいた後、ロゼリアが歓声を上げる。
「す、すごいです! 今の炎はミミロップさんですよね?」
「う、うーん……?」
……何が起こったのかはわからないが、今は奴へのとどめが先だ。
体の炎が消え、青白い鳥は白い煙を上げながら起き上がった。その姿は見る影もなく、焼けて溶けかけている。しかし、それも再生を始めようとしているのだ。
「畳み掛けるぞ、ピジョン」
「ああ……!」
青白い鳥は翼の回復をほとんど終え、今にも飛び立とうとしていた。何とも凄まじい生命力だ。
だが、もう遅い。間合いも充電も十分ッ――!
頭部を狙ったピジョンの翼による一撃が、青白い鳥の再生しかけていた額の鶏冠を砕く。青白い鳥は大きく仰け反り、形成しようとしていた氷の壁はばらばらと崩れ落ちる。
その隙を逃さず、右の拳に体中の電気を込めながら俺は奴の懐に潜り込んだ。そして大きく右拳を振りかぶり、白い胸部を思いきり打ち抜く。稲妻が奴の体を走り、雷鳴と共に電流の束が体内を焼き貫いて飛び出した。
断末魔の叫びのように突風が青白い鳥を中心に吹き荒れ始め、巻き上げられた雪や氷が俺達の視界を遮る。
風が収まると青白い鳥の姿は既に無く、透明な羽が一枚、その場に残っているだけだった。
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