暴走堕天使エンジェルキャリアー


[47]仄暗い闇の中で


3日後。
特務隊は解体され、特務隊の主要メンバーはその身を拘束されていた。未だ意識覚めやらぬ九十九を除いて。

「三佐、聞こえますか?」
独房の一室から長門の声が聞こえる。
「何だ?」
独房の一室から小笠原の声が聞こえる。
「山本司令の考え、わかりますか?」
「さぁね。キャリアー使って世界征服でもするんじゃないの?」
独房の一室から彩夏の声が聞こえる。
「三佐、『計画』って言ってましたよね?あれってどういう意味ですか?」
小笠原は応えない。
「だからアレでしょ、世界征服の計画。」
彩夏が応える。そして反響が静まった頃に小笠原が重たく口を開く。
「帰教院といってな。極秘裏に政府高官や資産家が作った組織なんだが。」
「帰教院?」
「ああ。元はこの国を建て直し、世界の経済を握ろうという組織でな。山本司令はその帰教院のメンバーだった。」
「やっぱり世界征服じゃない。」
「端的にいえばそうかもな。だが帰教院のメンバーの中にはタカ派…武力で世界を手に入れようという者達がいる。」
「どうやって?」
「詳しくは解らんが、特務隊とBEASTとエンジェルキャリアー。その三つが必要らしい。」
「世界征服の為の『計画』、ですか。けど…」
「山本司令はあたし達を切り捨てた?」
「そういうことになるな。」
「何の為に…」
「解らん。だがもうBEASTは来ないと言った。エンジェルキャリアーの…特務隊の存在が必要無くなった、ということか。」

牢獄に沈黙が訪れる。

「つーくん、もう目覚めたかしら?」
「もう3日経ちましたからね。どうでしょうか。」
「…」
「あたしたち、どうなるのかしら…」
「晴紀達もどうしてるんでしょうね。」
「…」

ガコン。

鉄格子が重たく開く音がする。そして、何人かの足音が聞こえた。
足音はそれぞれの独房の前で止まった。
「長門一准尉、出ろ。」
短機関銃を構えた男が長門を呼ぶ。顔を上げた長門は、男の顔を見て絶句する。
「晴紀…」
長門は後ろ手に手錠をかけられ、独房から乱暴に引っ張り出される。見ると、小笠原と彩夏も同じように独房から引っ張り出されていた。
「晴紀、どこ連れてくんだ?」
春日は答えない。長門はそれ以上喋ることをやめた。
そして三人は短機関銃に背中を押され、牢獄を後にする。

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