暴走堕天使エンジェルキャリアー


[46]最後の使徒


「山本司令であられますか。援護、感謝いたします。しかし…その機体は?」
小笠原がモニターに映る機体、黄色いエンジェルキャリアーに通信を送る。その声は、ラファエルの中の彩夏にも聞こえた。
「エンジェルキャリアー0号機…そうか、君は知らなかったかな。しかし…」
エンジェルキャリアー0号機は右腕をラファエルの頭に向ける。そしてその腕が白く光る。
「っ!?」
エンジェルキャリアー0号機の腕からマイクロブラックホール弾が放たれる。ラファエルは咄嗟にその場を飛び退き、マイクロブラックホールを避ける。
マイクロブラックホールはウェポンビルに直撃し、周囲の空間ごと蒸発して消えた。
「司令っ、何を!?」
「私は援護に来た訳では、ない。」
今度は左腕を挙げる。そしてウェポンビルに向け、腕を白く光らせる。
だがマイクロブラックホールは天に向かって放たれた。見ると、ラファエルがその腕でエンジェルキャリアー0号機の腕を制していた。
「山本司令、やめてください!」
彩夏が叫ぶ。
「黙れ、クラスCが。」
エンジェルキャリアー0号機はラファエルの頭を鷲掴みにする。そしてその腕を白く輝かせる。
「まさかっ!?」

ドン。

ラファエルの頭が歪む。彩夏は激痛に頭を抱え悲鳴を上げる。
「水無月二尉!!」
ラファエルは仰向けに倒れる。そして微塵も動かない。
「これが…これもあなたの計画なのですか!?司令!!」
小笠原が叫ぶ。だが山本は応えず、口角を吊り上げる。そして、首相官邸に向け腕を挙げる。
「まさか…本部を…?」
小笠原が呟くと、管制室の全員の表情が凍りつく。
すると山本がオープンチャンネルを開く。
「本部の諸君、武装解除して投降したまえ。直に私の直属部隊が本部を占拠する。武装解除して投降したまえ。」
管制室の全員が不安を顔に浮かべ、小笠原に向き返る。
「ち…血迷ったか、山本!我々が居なければBEASTは…」
小笠原は机を叩く。
「BEASTはもう来ない。」
「何だと…?」
山本は再び口角を吊り上げ、応える。
「私が最後の使徒…イスカリオテのユダだ。」


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