暴走堕天使エンジェルキャリアー


[45]Project C


「そうか。プロジェクトは最終段階に入ったか。」
威容の男が書類を見ながらつぶやく。部屋には数人の威容の男達と老人、そして山本の姿があった。
「戦略兵器研究所が回収した羽根を元にクローンを作成中とのことだ。」
「これが実用化されれば戦争は変わる。わが国は圧倒的な力を手に入れることになる。」
男たちは頷き、笑みを浮かべる者もいた。そして顔触れで一番高齢であろう男が口を開く。
「敗戦から60年。非常に長い時間であった。私は戦犯として裁かれることはなかったが、あの日から奴の傀儡に成り果てた。」
男達は黙って話の先を促す。
「だが私は生き残り、諸君らと共に力を得た。生き恥を晒した甲斐があったというものだ。」
老人は不敵に笑う。
「いよいよ念願の叶う時、ですな。」
男達も顔を見合わせ不適に笑う。

そこに突然、短機関銃を携えた戦闘服の男達がなだれ込んできた。
「何者だ!?陛下の御前であるぞ!」
戦闘服の男達は何も応えない。
「銃を降ろせ!どこの所属だ!?警備はなにをしている!?」

チュン。

「少し黙っていてもらおうか。」
部屋に軽い音が響くと、男は床に倒れ込む。
サイレンサーからは煙が上がっている。銃を手にしていたのは山本だった。
「山本、貴様何のつもりだ!?」
男の一人が机を叩き立ち上がる。
「何の?解りきったことを。」

チュン。

再び軽い音が部屋に響く。撃たれた男はころんと床に沈む。
「あなた方の望む通り、世界の革新ですよ。」
残りの男達は陛下と呼ばれた老人の前に集まり、人壁を作る。
「ならば何故陛下に弓を引く!!」

チュン。

また一人、男が倒れる。
「プロジェクトの主役が私に代わったと云うことですよ。」
「貴様っ!」
「心配要らない。あなた方が逝った後で、私が革新を見届けるさ。」
山本が手を挙げる。そしてゆっくりとその手を下ろすと、短機関銃から一斉に銃弾が放たれる。

[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.