第40章


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 さて、休憩をとるにしても、全員で一斉に寝入るわけにはいかない。今は一時的に停止しているとはいえ、
仮にもここは人間の縄張り内だ。常に最悪の状況を想定しておくに越したことはない、
数匹ずつ交代で仮眠をとるのがいいだろう。……信用のならないデルビルとマニューラに対して、
見張りを立てるという意味も有る。
組み合わせは、そうだな――デルビルには、正体を察している俺が直接目を光らせた方がいいだろう。
マニューラの方は、ロズレイドが適任そうだが、一匹だけだと何か悪い口車に乗せられかねない。
二匹に何かしらの理解のあるらしきミミロップを付ければいいのではないだろうか。
 俺は、交代で仮眠をとる事と、その組み合わせを提案する。
「ねえ、ボクとマージは? 名前が呼ばれなかったんだけど」
 少し不安そうにアブソルが尋ねる。
「お前達は気にせず、ゆっくり休むがいい。寝る子は育つというし、子どもにあまり無理はさせん」
「……ボクばっかり――」
 むっとした様子で、アブソルは俯き加減に何やら呟いた。
「どうした? 具合でも悪くなったのか?」
 予期せぬ態度に、戸惑いながら俺は顔を覗き込むようにして問い返す。
「違うよ、もういい」
 しかし、アブソルはますます不機嫌そうに、ぷいと顔を背けてしまう。
「ボクもピカチュウと一緒に起きてる。……子どもみたいに心配されなくても大丈夫だから」
「じゃあ、マージもー」
 突っ撥ねる様に言うと、アブソルはムウマージを連れていつもより俺から少し離れた位置に座った。
 どうしたというのだ、今までこんな聞き分けのないことは殆ど無かったというのに。
俗に言う反抗期という奴だろうか、子どもは分からぬ。自然と機嫌が直るまで待つしかないか、やれやれ。


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