第40章


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――
「……とにかく、だ……このツメの事だけは、仲間連中にも内緒だっつーの……」
やがて、漸く落ち着きを取り戻したニューラ達は、ボツボツと当面の事を話し始める。
「まだ、帰ってこねー、と決まったワケじゃないかんな。ギャハ」
「ノコノコ戻ってきたら、そん時にでも突っ返してやればいいわ。でも……
 どんなロクデナシが嗅ぎ付けるとも限らないから、巣には持って帰れないわね」
「じゃあ、どっかに隠しとくかっつーの」
「ヘタな場所じゃあ、すぐ見つかっちまうぜ、ギャハハ!」
その時、ふとメスニューラの目に、街外れに佇む、古びた竜の石像が映った。
その巨大な姿は、まるで月に向かって咆哮するかのように見える。
「あ、そうだ!」
何かを思い付いたかのように、メスニューラは包みを拾い上げ、石像へと走り出した。
「おいおい、どこ行くんだっつーの?」
「ボーマンダ……ディアルガ様に預かって貰うのよ!」
メスニューラは軽々と台座に飛び乗った。
「ああ〜ん、元の神々しいお姿も、ス・テ・キ」
暫しウットリと眺めた後……
石像の上へ駆け上がり、その大きく開いた口の中に、奥深く包みを押し込んだ。
「ディアルガ様、しばらくお願いね。早く帰ってくるよう……あのバカを守ってやって頂戴」
メスニューラは石像の耳元に囁くと、一気に下へ飛び降りた。

黒い三匹の影と、それを追い掛ける一匹の影が、テンガン山の山中へと消えていく。
それを見たのか見なかったのか、月の明かりか雲の加減か……
一瞬、石像の目に、白い光が宿ったように見えた。

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