第40章


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「ったく、ざーけやがって。しかしまあ、あいつが礼なんて、珍しい事もあるっつーの」
「何が入ってんだ?食いもんか?ギャハハ!」
「ちょ……ちょっと……そんなんじゃないわよ……こ、これ……!」
包みを開けていたメスニューラの声が震え、心成しか顔が蒼ざめている。
覗き込んだオスニューラ達の表情も、みるみるうちに強張っていく。
それは、滑らかに研ぎ澄まされ、尖った切先が銀色に光る――

するどいツメ――本来なら、相手の急所を狙い易くする戦闘道具の類いである。
だが、彼らニューラ族にとっては、進化に関わる重要な代物でもあった。
おいそれと入手できる物ではない故に、そこには特別な意味が伴っていた。
「ど、どーゆー事だっつーの?!」
「そんなの決まってんじゃない!あたし達のうちの誰かが、マニューラの後を継げってワケ!」
「じゃあ何か?!あいつは……最初からそんなつもりで……ギャ…ハ……」
「ち……畜生ぉ!!!」
オスニューラは怒り立ったように、包みを引っ掴んで地面へ投げ付けた。
「あいつはいっつもそうだっつーの!!肝心な事は何一つ言いやがらねえ!!
 はん!俺ぁゴメンだね!こんなもん、おめーらの勝手にしやがれっつーの!!」
「ギャヒー!冗談じゃねえ!俺だって勘弁して欲しいぜ!!」
「あたしだってお断りよ!こんな他人のお情けで強くなったって意味ないじゃない!!」
一頻り憤り、喚いた後――三匹の間に、長い長い沈黙が続く。


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