第40章


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「毒の粉ではないか、馬鹿者!しっかりしてくれ……どうにかならぬか、ミミロップ」
 ミミロップだけはロズレイドとペルシアンとマニューラの妙なやり取りに理解を示しているようだった。
何か立ち直らせるきっかけを得てくれるやもしれぬ。
「うーん、そうね……。皆はちょっと待ってて。ロゼちゃんは、こっち」
 そう言うと、ミミロップはロズレイドの手を引いて俺達から少し離れ、何やらごにょごにょと話し出した。
内容は聞き取れぬが、ミミロップの話に相槌を打つ度、ロズレイドの顔には活力が戻っていっているようだった。
少ししてミミロップはこちらにOKサインを出し、しっかりとした足取りのロズレイドと共に戻ってくる。

「もう大丈夫なのか?」
「はい。ご迷惑をかけてすみませんでした。僕はもう平気です」
 きりっと表情を引き締めて、ロズレイドは応えた。
「ならば早速……」
「眠り粉でしたね。必ずや作り上げて見せます、少々お待ちを……!」
 随分と気合の入った様子で、ロズレイドは目を閉じて手に力を込めて花の中身を混ぜ合わせるように震わせる。
しばらくして、「出来た!」とロズレイドは声を上げ、くわっと目を見開いた。
「さあ、どうぞ。今宵の僕の眠り粉は、インドぞうをも二秒かからずころりと眠らせられると自負できる出来栄えです」
 ロズレイドは自信満々で葉っぱに包んだ花粉を手渡してきた。
「そ、そうか、ご苦労……」
 少し気圧されながら俺は受け取る。
「参りましょう!ミュウツー達を打ち倒し、ジョウトにも僕達の名を轟かせるんです!」
 意気揚々とロズレイドは宣言する。『ばっちり活躍して、見返してやるんだ』微かに呟くのも聞こえた。

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