第40章


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 空はまだ明るく、日が沈むまで少し時間がありそうだ。出発の準備をするがてら、
今のうちに日の光を堪能しておこう。これからしばらくの間、太陽を拝めないのだから。
「何も出来ないのが、くやしい……。どうか、レッド君を……」
 洞穴を立とうとする俺達に、エーフィは懇願する。
「受けた恩には報いる。必ずやお前の主を救い出そう。それまで養生せよ、エーフィ」マントを翻し、俺は言った。
「まっかせて! あんな奴らすぐにぶっ飛ばして、取り返してくるわ」ミミロップは力強くぐっと指を立てる。
「あの人には僕達も何度も助けられました。今度は僕達の番ですね」ロズレイドが確と頷く。
「もしものことがあっても、マージのおともだちにして、つれもどしてきてあげるよー」くすくすとムウマージは笑う。
「ピカチュウ達がいれば、大丈夫。ボクの時みたいに助けてくれるから、ね?」にこりとアブソルは微笑んでみせた。
「ありがとう、君達……」
 目を潤ませ、エーフィは震える声で言った。


「ジョウトには俺も連れて行け。俺もあの化物共を、その傍にいるであろうフーディンの野郎を追わなきゃならねえ」
 洞穴を出た所で、デルビルは俺に告げる。俺は何も答えず、じろりと訝しむ視線をデルビルに向けた。
「俺を連れて行けばきっと役に立つぞ。お前ら、ジョウトのことはほとんど何も知らねえんだろ?
 だが、俺は何度も行った事があるからお前らよりは確実に詳しい。人目につかない裏道も色々知ってる」
「お前とあのフーディンは仲間だったのだろう。また手を結ばんとも限らん」
「冗談じゃねえ、あんなイカれた奴のところにほいほいついて行ったら、これ以上体に何をされるか分かったもんじゃない。
奴に会ったら思い切り締め上げて、人間に戻る方法を吐き出させるんだ」

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