第40章


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「君達……」
 俺達に気付き、ふらふらとエーフィは首を起こした。こちらを見やる表情には微かな怯えと、
どこか複雑な感情が入り混じっているように見える。
「すまない。俺の力が至らなかったばかりに」
 言って、俺は顔を伏せた。大水に沈み崩落の近かった洞窟にレッド達が最後まで残ったのは、
俺達の背後を守り無事に外へ逃がすためでもあったろう。
 エーフィはそっと首を横に振るう。
「望んでやったことだし、謝らなくたっていい。……レッド君なら、きっとそう言う」
 ぐっと目を閉じ、堪えるようにエーフィは言った。
 悲痛な様子に深い罪悪感を呼び起こされ、俺はそれ以上掛けられる言葉が出てこなかった。
重苦しい沈黙が洞穴内に淀んだ。
「後ろ向きに沈んでばかりいても仕方ないのニャ。そろそろ少しは前向きになれそうな話をしようニャ」
 見兼ねた様子で、ペルシアンが口火を切る。
「そのレッドっていう人間だって、まだ死んだって決まったわけじゃ無いんだニャー?
 思い出すのは辛いかもしれないけれど、なにがあったか皆にも詳しく聞かせてもらえないかニャ、エーフィ」
 少し躊躇った後、こくりとエーフィは頷いた。

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