第40章


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 海賊達と別れ、俺達は道筋を思案する。ペルシアンの居場所は、俺達が今いる二十五番道路からずっと南。
ハナダシティの更に先、ヤマブキシティの南に伸びる六番道路沿いの林の奥だ。
人間の多い街中や道路の真ん中を俺達が堂々と歩くわけにはいかない。どうにか人目を避けていかなければ。
 このまま南下してハナダの東にある九番道路を横切り、岩山の脇を越えつつヤマブキの東、
八番道路を渡ってから南側に周り込むのが、人目をなるべく避けた上での最短距離となるだろうか。
「わざわざ案内しねえでも大丈夫そうだな。おれっちはちょっくら別の用事があっから、一足先に御一行を抜けさせてもらうぜ」
 方針が決まり出発しようとしている俺達に、プテラが声を掛ける。
「そうか。ご苦労だな」どこに敵がいるかも知らぬ状況だ、きっと他にも伝令や哨戒の仕事があるのだろう。
特に引き止めずに俺はその姿を見送ろうとする。
「あ、そういや……」
 翼を広げて羽ばたこうとする直前、プテラは不意に思い立ったように振り向いた。
「どうした?」
「あんたらの決めた合言葉はなんていいやがったっけなあ? おれっち、ちょっと忘れっぽいところがあってよぉ」
「……仕方のない奴め。ピカチュウの人生、だ」
「おお、そうだったそうだった。……んじゃ、道中つまらねえ怪我しねえように気ぃつけておくんなせえよ。
次に会う時まで元気でいてくれた方が、旦那らも喜ぶだろうからな、へっへ」
 プテラは勢いよく飛び上がり、俺達の上空で数回旋回してから、あっという間に西の空の彼方へと消えていった。
 さて、改めて出発するとしよう。だが、その前に――
「……お前も何か野暮用とやらがあるのではなかったのか、マニューラ」
 何気なく俺達に混じってついて来ようとしているマニューラに、すかさず俺は釘を刺す。
「ケッ、細けーネズミちゃんだな。オレはオレで勝手にしてるっていっただろ。いちいち気にしてねーで、
さっさとそのペルシアンとかいう奴のところまで行きな。ちょっくらオレもそいつに会ってみたくなったのさ。
まあ、会ったついでに何か聞くこともあるかもしれねーけど、あくまで個人的にだ。テメーらにゃ何の迷惑にもなんねーだろ?」

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