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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[55]８月５日(近藤)

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久々に取れた非番。

急にお寺のみなしご達に会いたくなり、屯所を出た。

手土産にはコンビニで調達したアイスクリームを持って。

真夏の日射しの下を汗だくで歩きながら、袋の中を覗く子供達の笑顔を想像すると、いてもたってもいられなくなり、自然と駆け足になった。

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古びて朽ち果てた山門をくぐると、お寺の境内で棒キレ振って遊んでいた子供達が、俺の姿を見つけて駆け寄って来た。

五人が｢我先に｣とばかりに脚や腹回りにまとわり付き、キャッキャッとはしゃいで離れない。

俺はこの瞬間が大好きだ。

｢さぁ、アイス食うぞ。

みんな手を洗って来い!!｣

子供達は井戸へ向かって全力で走って行った。

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縁側で袋を開き、子供達にアイスクリームを選ばせる。

取り合いをはじめる子、どちらにするか迷っているうちに横取りされる子、余ったもので満足する子…様々いる。

この他愛もない光景が、とてつもなく愛しく感じる。

早く所帯を持ち、このような光景が自分のものになればと願う今日この頃だ。

やがて五人はおとなしく食べはじめた。

太陽はジリジリと俺達を焦がし続けている。

｢あのさ、近藤のおっちゃん。

コレ…｣

一番先に食べ終えたタツオが、机の中から何やら紙を持ち出した。

前にもこんな事があったな。

寺子屋のＰＴＡドッヂボール大会だったっけか？

今度は何だよ、オイ。

｢親子キャンプなんだ。

でね、クラスにいけすかねぇ奴がいてさ。

そいつの鼻をあかしてやりたいんだよ。｣

あとの四人もアイスの棒をくわえて頷いている。

しかしいくら嫌いな相手とはいえ、他力を用いて勝ちを得ようというのは間違っている。

その旨を子供達に諭すと、黙って考え込んでいる風だった。

｢でもまぁ一応、どんな風にいけすかねぇ奴なのかだけは聞いてやるよ。

話してごらん。｣

子供達は競るようにして話し始めた。

｢あのね、いっつもいっつも『うちのお父さんは警察なんだぞ』って威張ってんの。｣

｢でね、何かっていうと『うちのお父さんに言って逮捕してもらうぞ』って脅すの。｣

｢こないだも『すっげー悪い奴捕まえた』って自慢してたんだ。｣

警察…？というと本庁の者だろうか。

｢他力に頼るな｣と言ったものの、同業者が絡んでいる点が気になり、子供達に名前を尋ねた。

｢[高畠]っていうんだよ。｣

高畠…か。

早速屯所へ電話を入れ、ザキに高畠について調べるよう指示をした。

｢寺子屋のキャンプ、いつだっけ？

休み取って行くからな。｣

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