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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[48]６月１８日(近藤)

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市中見廻りが楽しい。

美猫のタエオと、名犬金ちゃんがお共してくれるからだ。

この子達が付いてくると子供も大人も振り向き、口々に｢かわいいね｣、｢触らせて｣と寄って来る。

タエオと金ちゃんは、市民とのコミュニケーションを図れる絶好のアイテムなのだ。

今日も寺子屋帰りの子供達が、二匹を見付けて駆け寄ってきた。

｢子猫と子犬がいるよ。

かわいい～!!｣

｢わぁ、ホントだ。

ねぇねぇオジサン、触ってもいい？｣

｢オジサン｣…そっか。｢オジサン｣だよな。

辛いけど認めなきゃな。

もう三十路だもんな、オレ。

子供達は歩道にしゃがみこみ、柔らかな毛の感触を目を輝かせて楽しんでいる。

タエオと金ちゃんも当然ながらかわいいけど、子供も負けず劣らずかわいい。

予定もないのに早く自分の子供が欲しいと、子供好きのオレはこの頃特に思うようになった。

歳を取った証拠かな。

ひとしきり二匹をいじくりまわした子供達は、今度はオレをじっと眺めて訊ねてきた。

｢ねぇ、オジサンって真選組の人？｣

その目はオレの黒い上着を見つめていた。

｢だったらヒジカタとかオキタとかと一緒に働いてるの？｣

｢かっこいいんだよねー、二人共！｣

子供達は何故か局長のオレより先に、トシと総悟の名を出した。

しかも上等な冠、｢かっこいい｣をつけて。

えぇ～、そりゃないよ…。

そりゃ二人はオレと違ってスラッとスタイル良いし、顔だってなんか｢シュッ｣ってしてるけどさ…。

オレは大人げない行為と知りながらも、子供に誘導尋問した。

｢ねぇねぇ、土方や沖田もかっこいいけどさ、

もっとこう…いないっけ？

真選組で一番偉ァ～い人が…｣

子供相手にイヤらしい聞き方をしている事は百も承知だ。

しかしどうしても自分の評判を聞いてみたいという衝動を止められなかった。

子供達はオレが局長・近藤勲である事など気付きもせず、知っている限りの情報を述べた。

｢キョクチョウ？

…それ誰だっけ？。｣

｢アイツだよアイツ。

ゴリラだよ！｣

｢あぁ、ゴリラ局長か！

アイツこないだ本物のゴリラとお見合いしたらしいよ。｣

｢マジで!?

そういえば大人のくせに、ウンコチビったってのも聞いたよ！

それってホントなの、オジサン？｣

漏れてる。オレの最も都合の悪い情報のみが漏れている。

ウンコだけにね。

…ってウマくないからァァ!!

本物ゴリラとの見合いも、ウンコ垂れ事件も街に漏洩していたなんて…

それを知らずに楽しく街を見廻っていたのはオレだけだったのか！

なんて恥ずかしい大人なんだオレは!!

わざわざ聞き出さなきゃよかったよ…。

でもウンコ事件に関しては[チビった]という風に過少表現となっているようだな。

ホントは丸々一本だったんだけどね…。

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