第43章


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 その時まで俺は、部隊のポケモン達といらない揉め事を起こさないよう、極力関わりを避けるように努めていた。
それまで俺がたらい回しにされて渡り歩いてきた部隊では向こうの方から勝手に俺を恐れて避けてくれていたが、
ここの奴らはそうもいかない。俺と同じように各所から爪弾きにされてきた、一癖二癖では収まらない、最低の奴ら。
――今となっては、俺の大切だった仲間達。そんな風にまで思えるようになったのも、あの子のおかげだな。
 俺が自分から奴らを避けていたのは単純に面倒だったと言うのもあるが、もしも争いとなれば、
いくら当時の俺だったとしても無傷では済まないかもしれないという懸念もあったからだ。
 通常、どこからも爪弾きに会うほどに素行に問題があれば、即刻処分されてしまうのが普通だ。
時に人間すらも捨て駒のように扱うことのある軍にとって、ポケモンなんて所詮は兵器の一つに過ぎないからな。
だが、そうされないのは、多少扱いにくさがあっても処分を躊躇させる程に実力や尖った力を持っていたからだ。
それは単純な戦闘能力であったり、高い生存力であったり、特殊な攻撃手段や能力を持っていたり、
後ろ盾となるものを誑し込んでいたり、様々だ。
 そんな奴らをわざわざ一箇所に集めて部隊としたのは、地獄のような最前線や、
他には任せられないような条約違反すれすれの薄汚い作戦を押し付け、程よく活躍してから上手い具合に
くたばってくれれば万々歳なんて上は考えていたんだろう。
 結果としては、思惑を外れて多くがしぶとく生き残り、憎まれっ子世にはばかるを体現する存在と化していたが。


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