第43章


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〈何の価値も無くて捨てていいって思っているものだったら、誰かが貰ってもいいでしょ?
それからどんな風に扱われちゃっても文句は言えないはずだわ。
いっそ死んでも構わないぐらいの気構えがあるなら、どんな事だって受け入れられる。
貰った相手がどんな負担を被っていようと、好き勝手に貰っていったんだからあなたには関係ない。
誰の助けにもなれないなんて、そんなの自分一匹だけで測れるもんじゃありません。
やってみなくちゃわからない、出来ないとやらないは違うんです。だから、というわけで――〉
 再度、気を入れなおすように彼女は大きく息を吸った。
〈あなたを私にくださいッ!〉
 ぴしっと指をさして勢いよく彼女は言い放った。
 俺は何だか圧倒されたようになってぽかんとその姿を見ていた。
 一拍の沈黙の後、放った言葉の意味が色恋の告白の類にも取れてしまうものと気付いたのか、
彼女はハッとして、黄色い顔がみるみる真っ赤に染まっていった。
〈え、えーと、今のは変な意味じゃあなくって、その……ああ、ダメ、上手く言えない〉
 先程までの威勢は途端になりを潜め、しどろもどろになって弁解しようとしていた。
”くく、ははは……なにをやっているんだ”
 そんな様子を見ていると、何だか不可思議な笑みが湧いたきた。
良い意味で肩透かしを喰らってしまった様な、奇妙な感覚だった。
”……分かったよ、俺の命をくれてやろう。元々、落としたも同然の所を拾われた身だ。
君の言い分に従おう。煮るなり焼くなり好きにしてくれ。”

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