第五章


[01]無題


ガチャッ………
屋上のドアが静かに開く…。


「翔湖…。」
先生だ。
声で分かる。
優しい低い声…。
「なんですか…。」
私はまた冷たく言い放つ。
「ごめんなさっき…。俺から呼んだのに。」


「先生………。」
私は先生を見て笑う。
「私が先生を好きって言ったら付き合ってくれる??」

先生は困った顔をした。
そして笑った。
「峰岸…。峰岸は俺の大事な生徒だ…。」
「やっぱし…。」
私は先生に背を向けた。
先生は私に近づいた。
「俺は…。先生だ…。」
先生は悲しそうに言った。
「わかりました。」




教室に戻ると隼人が寝ていた。
皆は移動教室で理科室に行ってるらしい。
私は隼人の隣に座った。
「隼人〜…。私ね…。フラれちゃったぁ…。」
呟いた。
隼人は寝ている。

スー……スー…
隼人の寝息が教室に響く。
隼人を見る。
隼人は顔立ちが綺麗で結構モテる。
「ねぇ隼人…。先生と出会ってなきゃ隼人を好きになってたかもね…。なーんて!隼人もきっと振るんだよね!!」
私もそのまま隼人に寄り掛かって眠った。

『振るわけないだろ…。ばか。俺がいつからお前を想ってると思ってんだよ。気付けよあほ…』
隼人の声がした…。
きっと夢…。それとも現実…???わかんないけど良いや。
隼人はあったかい…。
優しい匂いがする…。


「翔湖!!」
隼人の声で目が覚めた。
「隼人…?おはよー…!!」
目をこすりながら言う。
「おまえなぁ…!!くっついて寝てんじゃねぇよ!!」
隼人が顔を赤くする。
「あ…。まただ」

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