第四章


[01]無題


「翔湖!!!」
誰かに呼ばれて振り返る。
「隼人かぁ…。」
隼人はいっつも馬鹿やってる友達だ。
隼人はほっぺを膨らます。「なんだよ!もっと笑顔で振り向け!!」
隼人はいつものようにニカニカ笑って言う。
隼人はなぜか憎めない奴なんだ。
私は冷ややかな目で見た。わざとだ。
ふざけてるだけだけどからかってやる…!!
「話し掛けないでよ」
冷たく言ってみる。
「お、俺は、ただ…。お前が元気ないから心配で…!」
隼人は顔を真っ赤にしている。
「わ…、悪かったな!!」
そう言い捨てて隼人は走り去った。
「……。は…!?」
なにアイツ!なんで顔赤くしたわけ!?
意味わかんない!!
私は教室に入って真由美のところに行く。
「あ♪翔ちゃん!!」
真由美は手を振って私を呼ぶ。
「先生が呼んでたよ♪♪」
二宮先生を指差す。
二宮先生が気付いて手招きをする。
私はため息をついて先生のほうに歩く。


「なんですか??」
冷たく言う。
「ちょっといいか?」

そう言って廊下を指差す。

「お前俺になんか怒ってるだろう!」
困った顔で聞いてくる。
私は冷たく言った。
「別に……。」
二宮先生が好きなのになんで冷たくしてしまうんだろう…。
二人の間に微妙な空気が流れた。
今まではこんなことなかったのに…。
いつも私がしつこく質問とかをして先生が笑いながら答えてくれる。
そんな感じだった。

「先生っっっ促
誰かの声が沈黙を破った。「おぉ山田!!」
先生と山田という女子は仲良く話しはじめた。
山田とかいうやつは先生の腕に自分の腕を絡ませてる。
私でもそんなことはしないのに…。
むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく。
イライラがMAXになった。

「先生……。」
私が低い声で呼んだけど山田の笑い声が大きくて先生に届かない。
「先生っ!!!!!!」
私が叫ぶと、山田が鼻で笑う。
「誰コイツ…。」
山田は先生には聞こえないように「キモッ」って言った。
「なによ!!あんたこそ腕絡めたりして!!なんなのよ!!!」
私は怒鳴る。
「……もぅ先生なんか大っ嫌い!!!!」


私は走って屋上に行く。


屋上に着いたら急にかなしくなった。
「先生のばか…。」
片思いなんだって改めて実感した。
先生にとっては私なんて生徒の一人なんだ…。
だったら頑張ったって意味ないじゃん…。
「もう話し掛けない。」
自分に言い聞かせた。
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