第38章


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翌日。
ロズレイドが帰ると言うと、ニューラ達は様々な道具を餞別にとくれた。
珍しい木の実やムウマージが好みそうな呪いと清めの御札、元気の塊など人間の道具もある。
よほどニューラとの勝負が気に入ったらしい。

「用意もできたし…行こう」
さすがにカプセル温室が使えなくなったため、帰りはマニューラ達の引くそりに乗っていくことになった。
歩き出そうとするロズレイドを、しかし引き止める声一つ。

「おい!」
光の石を盗ったニューラだった。
「なんですか?」
ロズレイドは驚く。向こうから会いにくるとは思わなかった。
「いや、あの…悪かった」
気恥ずかしいらしく、挙動不審である。そして、何かのレンズを差し出した。
「これ…やる」
ニューラはそれだけ言うと逃げてしまった。ロズレイドはその背中に叫んだ。
「ありがとう!」

「オイ、行くぞ!」
マニューラが呼びに来る。ロズレイドは慌ててレンズを道具袋に詰め、外に向かった。
ニューラ達が手を振り叫ぶ中、マニューラ達の引くそりは雪の中を滑りだした。
目指すはハクタイの森である。

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