第41章
[42]
でけえ南京錠を外し、コンテナの重い扉を開けると、真っ暗闇の中に四つの目が光っていた。
よくよく目を凝らして見ると――中にいたのは、今までに見た事もねえポケモンのガキ共だった。
「何だお前ら?! もしかして……あいつらの手先か?!」
二匹いたうちの一匹が立ち上がり、あっしらに向かってそう叫んだ。
そいつは上半身が水色、下半身が黒い毛で覆われた、耳の丸い山猫の子どもみてえな奴だった。
その背後で、長え尻尾をグルグル巻きにした青い子猫が、蹲ってブルブル震えている。
「く、来るなら来い! 彼女にはツメ一本触らせないからな!」
山猫のガキは体毛をバチバチと光らせ、いっちょ前にもこちらを威嚇してきやがった。
だが、ガキの足元はガクガク震え、それが単なる虚勢に過ぎねえのは明らかだ。
あっしは思わず吹き出しそうになったが、あいつの横顔を見て、慌てて嘴を押さえた。
「可哀想に……こんな光も入らない、息苦しい所に何日も……」
あいつはコンテナの中を厳しい表情で眺めた後、真顔でガキ共に話し掛けた。
「安心していい。俺達は敵じゃない。君達をここから助け出したいんだ」
「そ……そんなの信じられない! 騙されるもんか!」
山猫は震えながらも体勢を崩さず、あっしらを光る眼で睨みつけた。
「ホント? ここから出してくれるの? アタシ達シンオウに帰れる?」
だが、子猫の方はあいつの言葉に興味を持ったようで、山猫の足の間から、恐る恐るこちらを窺った。
「ダメだニャルマー、そんな簡単に信用しちゃ……」
「でも……あのおじさん、悪いポケモンには見えないよ? それにアタシ、早く外に出たいよ」
「心配ない。こやつは救いようのないお調子者だが、少なくとも嘘だけは吐かん」
あいつの背中から、自分達よりずっと小せえガキがそう言うのを聞いて、山猫はようやく警戒を解いた。
「お願いだから、俺の言う事を信じてくれないかな。このままじゃ、君達は別々に売り飛ばされ、
離れ離れになってしまうかもしれない……いや、そうなる可能性の方が高いんだよ」
「そんなの嫌! アタシ、コリンクと一緒じゃなきゃ絶対嫌だもん!」
「……僕とニャルマーは、ずっとふたりで生きてきたんだ……離れるなんて……」
子猫は山猫に縋り付き、山猫の方は急に情けねえ顔付きになった。
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