第四章
[09]剣術
ー剣術の間ー
関与殿は『弧臺剣(こだいけん)』について聞いていた。
「『弧臺剣(こだいけん)』は、孫家の三代目があみだした言えば奥義だ。
今回は三代目奥義『弧臺剣(こだいけん)』と二代目奥義『煎旒剣(せんりゅうけん)』を明日の明朝迄に習得してもらう。」
「なんだと?!弧臺剣ならまだしも、煎旒剣も明朝までとはかなり無理があるぜ!?」
「しかし皆、通ってきた道だ!
さくさく始めるぞ!!」
「…んの親父ィィ…」
彫雲殿は背中に刺さる殺気を余所に、倉庫らしき部屋から藁を縛っている木を二本立てた。
「まぁ、見てな。
弧臺剣は先ず体外に『気』を放出する…。」
コオォォォ
彫雲殿が剣を構え説明した瞬間に紫の気が全身から放出した。
「取り敢えず型だけ見ておけ…。」
彫雲殿が立ている木に、右上から左斜め下へ斬り、再び剣を上げ左上から右斜め下へと斬っていく。
紫の気が消え、彫雲殿が二人現れた。
「分裂?!」
『三代目奥義・弧臺剣!』
彫雲殿は上から、分裂をした彫雲殿殿は下から、剣を振りかざし、木はあっという間に粉砕していた。
「…はぁ。
形はこんなもんだ。
先ずは気を体外の四方八方に送り込み、自然と皮膚から流出する。
そして、激しく動く事によって放出量がより多くなり、カゲロウの様にもう一人の自分ができるのだ。」
「それなら俺にも出来そうだな。」
関与殿は新しい木を用意し、腰に備えられている剣を抜いた。
彫雲殿はできまいと薄ら笑いを浮かべていた。
関与殿は幼き頃、一度祖父である司蓉殿に教わっていたが、なかなかできないまま五年前に亡くなられた。
「親父、観ておけよ。」
「フンッ」
関与殿は剣を構え目を閉じた。
すると橙色の炎を放出した。
彫雲殿は関与殿が幼き頃から練習に付き合って来きたが、初めて彼の本気を見たようで、鳥肌がたっていた。
(なかなかやるようになったなぁ。
これなら明日の昼過ぎまでには初代の奥義も習得できるやもしれん…。)
そして、関与殿は遂に分身を出し、無事三代目奥義を習得した。
シュゥゥゥ…。
「…どうだ!?」
「まだまだだ!!」
「えっ?何が悪かったんだ?!」
「……次は二代目奥義行くぞ!」
その言葉に関与殿は笑いを抑える変な顔になっていた。
「…ってことは?」
「合格!」
「やったぁぁ!」
彫雲殿は関与殿の手の豆に気づいていた。
その手の豆には、年齢にしては皮膚が厚く、何年も剣の練習をしていたのを物語っていた。
そして今回の修行で今までの練習してきた事が結果として現れたのだった。
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