第二章


[06]帰国


爽貴様、彼、兵の三人が大浴場に向かっている頃、毘禅様は王室にて、春麗様・兵長・関与を王室へ収集したが、毘禅様は一向に話をする気配はなく、何時もになく穏やかな表情をされていた。

「あの、毘禅様…。」

兵長が何故収集をかけたのかを問い掛けようとしたときだった。
廊下から微かに『カツン…カツン…』と足音が近付くのに気づいた。
しかも、足音は一つではなかった。

「来た!」

毘禅様は急に立ち上がり廊下へ走った。
すると廊下からは一人の男の声が聞こえた。

「孫 彫雲(チョウウン)、只今戻りました。」

関与と兵長が名前を聞いた途端毘禅様の所へ走っていった。

廊下を出ると三人の男が片膝を廊下に付け頭を下げていた。

「よくぞ帰って来てくれた!
顔をあげよ!」

「はっ!」

関与は叫んだ。

「お…親父!
今まで何処にいってやがったんだ!」

「!…関与…。」

毘禅様は関与へ向いた。

「関与…。」

「はっ!…も、申し訳ございませんでした!」

「いや、彫雲には二年前急遽仕事を頼んだのだ、直ぐに帰ってくる様にと伝えたのだがまさかこんなに長引くとは…。
すまない、今回ばかりは話そうにも国家機密だったのだ。」

「いいえ!私が無理に続行したからです!
すまない、関与。」

二人して毘禅様まで頭を下げられると流石に返す言葉が思い浮かばなかった。

「…国の仕事を毘禅様に頼まれたのだったなら仕方ない事。」

毘禅様は関与の頭を撫でた。

「関与は強いな。
爽貴に見習わしたいものだ。
彫雲、連れの兵はどうしたのだ?」

「はい、会議室にて待機させております。」
「そうか、関与、ちょっと用事を頼まれてくれるかな?」

「はっ!
何なりと!」

「もう少ししたら爽貴達がここにくる。
その間、全兵の各長を大会議室に収集し、関与も共に控えていて欲しい。」

「御意!」

関与と兵長は一目散に走っていった。

「彫雲は私と爽貴が戻るまで話がある。」

「はっ!」

二人は部屋に入り設鍵された。



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