第四章


[01]四国


龍緋が赤龍と契約をして直ぐの事だった。
鄭国で原因不明の死亡、呂国では謀反、仁国では内通者が多発した。

ー鄭国・王宮ー

「原因不明の死亡か…困ったものだなぁ。今日で一週間にもなる。」

王の策尚(サクショウ)様は書物を片付けながら呟いた。

その隣の小さな机で書類に印鑑を押している王子の盛策(セイサク)様は眉間にシワを寄せた。

「他国でも同時期から災をもたらしていると聞いています。
やはり毘禅様に相談した方がよろしいのでは?」

「ううむ…。
筐(キョウ)!」

「はい。」

ドアに立っている男に声をかけた。

「扇(セン)に訪問の準備を整えるよう伝えよ。」

「はい!」

「お父様、どちらへ?」

「盛策も至急着替えてこい。
掌国へ向かう。」

ー掌国・王室ー

コンコンコン

「関与です。」

「入れ。」

「失礼します。」

関与は彫雲に引き継ぎ毘禅様の側近となり一週間がたった。

「関与、大分仕事も慣れてきたそうだな。
引き続き頼んだぞ。
彫雲も評判が良いようだな。
あまり顔色が良くない様だがどうかしたか?」

「はっ、それがたった今呂国・鄭国・仁国の国王並び王子が揃って訪問されると連絡が入りました。」

「…他国の災いの事でだろう…わかった。
こちらも受け入れるよう兵長に伝えろ。
爽貴は顔を出すよう促しておけ。
寢姉妹は大会議室と迎えの準備、大浴場と寝室の準備を整えておくよう伝えてくれ。」

「はっ!
龍緋はどう致しましょう?」

「ふん、奴は言わずとも爽貴に着いて来るだろう。」

「わかりました。
失礼します。」

関与は部屋を出た。

「これは…何かが起こっているのか?。」

ー夜・修行場ー

満月の暗闇の中魔術講義は始まった。

広い海と砂浜にポツリと爽貴様、龍緋、魔術師とその弟子二人が立っていた。

「それでは爽貴様、今日は魔術、夜の海に関して、満月の夜とは闇、安らぎをもたらすとも言われます。
回復魔法や回避魔法を使うのに適している環境です。
が、新月の夜とは本当に恐ろしい…。」

「爽貴様!」

関与が近寄り講義を割って入った。

「関与!?久しぶりね!」

「はい、ところで単刀直入に申しますと
急遽四国会議を開催する事になり、既に三国の王のお三方が既に訪問されておられます。
取り敢えず今夜は顔合わせをすると決まりました。
刻々と準備が整っております。
爽貴様も大至急ご準備の方お願いします。彰廉先生、講義中とはいえ申し訳ございませんでした。」

「いや、いいんじゃ。
しかし、急な訪問じゃな。」

「爽貴、きっと三国の災いの事だ。」

「うん、きっと相談に来るんだわ。
龍緋も準備しなきゃね。」

「…ああ。」

こうして二人は急いで部屋へと戻った。


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