第39章


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 こくり、とアブソルが頷く。
「お願い、ギラティナさん。消えるなんて言わないで。パルキアさんも、どうか許してあげて」
 ふ、とギラティナは全身の力が抜けたように息をつく。それを見て、少し口惜しげにパルキアも爪を退いた。
「アルセウス……果ての果てまで意が読めぬ、どこまでも身勝手な奴よ。ほとほと心の底から愛想が枯れ尽きたわ。そんな奴に与えられた役目になど縋っていたのがとても馬鹿馬鹿しくなった。
もう勝手にするがいい。私は私で現世を好きに生きさせてもらう……それでよいのだな?」
「うん……さすが、素直じゃないとこがよく似てるみたい」
 くすくすと笑うアブソルに、ギラティナは鼻を鳴らして顔を背けた。
 こうして、壮大な神々の家族喧嘩に一応の決着がついた。後は無事に帰るだけ――
「さて、後はピカチュウ。禁忌を犯した者への処遇についてですが」
 ――とは、いかないかもしれない。



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