第43章


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 天を指差し誇らしそうにポーズを取って”それ”は自信満々そう名乗った。
片や俺は、そんな存在の事は今まで聞いた事が無くて凄さの実感もわかず、
きょとんとしてその様を眺めていた。
『あれれ、なんだか反応薄いね。ボクとしてはもっと、すごーいとか、
わーとか、驚いてくれるのを期待してたんだけれど、おっかしいなー』
 うーん、と俺の反応に不満そうにミュウは首を傾げた。それから間もなく、
ああ、そっか、と何やらひとりでに納得がいったように呟いてポンと手を打つ。
どうしたらいいものか分からず、”ええと?”とうかがう俺に、
ミュウは『ううん、気にしないで』とさっぱりとした調子で答えた。
『さーて、他にも何か聞いておきたい事はある? 何でも遠慮せずに言ってごらん。
こんなチャンス滅多に無いぞー。ちゃんと答えてあげるかはボクの気まぐれしだいだけど』
 ミュウは絨毯へと再び腰を下ろし、まだ質問はあるかと俺に聞いた。
”そのような貴い身分の方であるなら、どうしてまたこんな地下室に?”
 勝手な想像ではあるが、そんな普通の生物の範疇を大きく外れた超越者と
呼ばれるような存在であるならば、こんな片田舎の教会の地下なんかじゃあなくて、
岩窟の奥底だとか、鬱蒼とした深い森だとか、風の吹き荒れる荒野の何処かだとか、
とても人の手が及ばぬ秘境のような地に住んでいるものなのではないかと思っていた。



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