第43章


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 初っ端からヘタに触れたら致命傷になりかねない地雷のような質問だ。
所謂、戦災孤児達の集まる子の場で、よもや軍の下で兵器をやっていたなんて言えよう筈も無い。
例え牧師やあの女性、人間の子達には俺達が何を喋っているかは直接は分からないだろうが、
ポケモンの子達が怯え出すのを見たら何かただならぬものを察してしまうだろう。
『おにいちゃんもセンソーのせいで逃げてきたの……?』
 上手い言い逃れを思いつく前に、黄色いトカゲの子の隣に座る、
薄灰色のふさふさとした毛並みをしたネズミかウサギみたいな子が心配そうな目で尋ねてきた。
巻き込まれたどころか、こちらはそのセンソーの加担者側だ。
『そのケガもやっぱりワルい兵隊とそのコワいヘーキ達のせい?』
 その更に隣の、ダルマに短い手足を生やしたみたいな姿の子が駄目押しの如く援護射撃を加えた。
重騎兵のような虫ポケモン、シュバルゴ達に密集陣形を組まれ崖際まで追い詰められたような気分だ。
答えを待ち望むその瞳の輝きが、鋭い槍の穂先のように見えた。
〈えっとね、このお兄ちゃんは怪我のショックで色んなことを忘れちゃっているの。ですよね?〉
 見兼ねた様子で彼女から助け舟が出され、”あ、ああ。そうなんだよ。名前さえ思い出せない”
と俺はすかさず便乗した。
 ええー! そうなんだ? 大変、かわいそう……。記憶そーしつってやつ?
 苦し紛れの言い訳だが上手い具合に納得してくれたようで、彼らはがやがやと話し合う。
俺はひとまずホッと胸を撫で下ろした。


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