第43章


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〈まだまだぎこちないけれど、やればできるじゃないですか。皆、あなたを気に入ってくれたみたい。
あの頑固の塊みたいなドテッコツお爺さんが誰かを気に入るなんて滅多に無い事なんですよ、ふふ〉
 出発した時よりも増えた荷物、村の人々やポケモン達が俺の回復祝いだと分けてくれた野菜や木の実
を愛おしそうに抱えながら、彼女は俺に微笑みかけた。
俺は疲れて凝り固まった感じる頬を揉んでほぐしながら、素っ気無くも内心満更でも無い気で頷いた。

〈さあ、お散歩も笑顔で優しく対応の練習も目的地までもう少し、あとひと踏ん張りですよ〉
”了解だ。より励む”
 頬の筋肉を一通りほぐし終え、ふう、と一息入れていつもの調子で俺は応じた。
〈それじゃあ堅いし重ーい。もっとふんわり柔らかくしないと子ども達が身構えちゃいます〉
 そこにすかさず、まだ気を抜くには早いとばかりに彼女の指南が飛ぶ。
”むう……分かった、よ。えーと……頑張ろう、ね”
〈グッドです。じゃあ、次は――〉
 まだまだ道は険しそうだ、俺は彼女に見咎められないところでそっと”やれやれ”と首を振るった。

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