本編「〓Taboo〓〜タブー〜」@


[26]chapter:7-4


まるで地獄絵図だ。
 
辺りに散らばるのは、もう動物だったのか人間だったのか分からないほど切り刻まれた肉片ばかり。
その上、血の鉄の匂いがこもっている。
常識ある人間ならたちまち吐き気を起こして吐いてしまいそうだ。
 
ならば、この惨劇の広場の中心に平然と立ち尽くす彼は異常なのだろう。
 
「あーあ、一人残らず、いや一匹残らずか?全部斬りまくりやがって」
 
一人の男がその場にやってきた。
その男は身長は高く、ヘアーバンドのようなものを頭につけ、そこからは赤茶色の毛がはみ出している。
 
「...こいつらゴブリンだ...大方、どこかの輩が遊び半分に呼び出したんだろう...」
 
最初にいた男は静かにそう言った。男はマントで身を包み、その姿はよく見えない。
ただ、男の持つ刀からは黒い血が滴り落ちていた。
 
「お前こそ何故遅れた?、レオナルド」
「『レオ』でいいっつってんだろ、つれねーなぁ。教会本部から急の連絡があってよ。なんでもターナー少佐の護衛に向かって欲しいんだってよ」
レオは軽い口振りで言った。
 
「護衛...?ターナーほどの奴に護衛などいらんだろう」
「呼び捨てはやめろて。なんでも新しいユスティティアの勧誘にカルナ村とかいう田舎に向かったそうなんだが、そこであの『ウロボロス』と対峙したらしい」
「ウロボロスだと?」
男の手に握られた刀に力がはいる。
 
「その時に少し深手を負ったらしくてさ」
「深手......」
 
男は何かを考えているようだ。
「ん?」
「いや、なんでもない...」
「それにターナー少佐の専用武器もあれだしさ...」
「とにかくターナーのところに俺達で護衛に行けばいいんだな...」
「うんや、お前一人」
「なに?」
「俺はガラン大将直々に命がくだって戻ることになった、ニシシ」
「なるほど...お前がいても役立たずだしな」
「カッチーン...ちゃんと任務だっつーの!」
「ふん、で?どこに向かえばいいんだ?」
「グリムシティだとよ。ターナー少佐がカルナ村を出る前に本部にそう連絡したらしい」
「ち、遠いな...じゃあレオナルド。ここの後始末は頼んだぞ」
「ええ!?なんで俺が!?」
「遅れた罰だ...」
 
男はそう言うとその場を立ち去ろうと背を向けた。
「そういや、トゥエンティ・トゥエルブ。ターナー少佐はちゃんと新しいユスティティアの新入りを見つけたらしいぜ。どんな奴だろうな」
 
トゥエンティ・トゥウルブと呼ばれた男は顔だけをレオに向けて聞いた。
 
「...名前は?」
「確か、ヴァン・シルウァヌス..だったかな...」
 
 
 
 
 
 
「ヴァン..シルウァヌス...」
 
 
chapter:7 化け物
 
 
〜to be continued...

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