第41章


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 爆発の衝撃でイトマルの体はくるくると弾き飛ばされ、樹に叩きつけられて根元にごろりと転げ落ちた。
今のは、一体――? 引き出された力は、本来求めていた念動力とはまるで違うものだった。力の正体は掴めないが、
毒針や葉による攻撃よりは幾らか奴らにも効き目がある。今はそれだけで十分だと、ロズレイドはその無色透明の泡のような球体を
間髪入れずにイトマル達に向けて次々放った。突然の正体不明の反撃と、続け様の炸裂音にイトマル達は驚き、浮き足立つ。
 マニューラはハッとした様子で道具袋を探り始め、中から白色の煙が中央に渦巻く不思議な玉を取り出した。
「今の内だ。イタチ共を連れ出して逃げるぞ!」
「あ、はい!」
 ロズレイドが応じると同時に、マニューラはその玉を地に投げつける。玉から白煙がもうもうと上がり、辺りに立ち込め始めた。
「テメーら、走れるな!? 立て!」
 煙に紛れながら洞に大急ぎで駆け寄り、マニューラは出し抜けにオオタチの親子に声掛ける。
「ひっ、イトマルだけじゃなく、ニューラ族まで……。うう、もうおしまいなの……?」
 オオタチは状況を飲み込めない様子で震え上がり、オタチを守るように体を丸めた。
「ああ、もう、テメーらなんざ喰うつもりはねーよ! ロゼ、もうメンドクセーからこいつら縛り上げろ、無理矢理連れてくぞ!」
「はい。あの、ごめんなさい、ちょっと乱暴ですが、それほど悪いひとでもないんです……」
「え、え……?」
 蔓でオオタチ達をぐるぐる巻きに縛ると、ロズレイドとマニューラはそれを抱えて一目散に駆け出した。
「キャー――――……!?」

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