第39章


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「――目覚めよ」
 冷たい声に目が覚めたのは、同じくらいに冷たい石の床の上だった。
 ――ここは、どこだろう。
 瞼の重たい目を白い足の毛にこすりつけてから、声の元を探してゆっくりと身体を起こす。
「何も知らず、呑気なものだ」
 再びの声に振り向いた先に居たものを見て、飛び上がりそうなほどに幼い白い獣は驚いた。とても大きな蛇とも虫とも違う銀色の怪物が、とても怖い顔をしながら真っ赤な目でこちらを睨んでいる。
「責からは逃れられんぞ、アルセウス」
 怯えて震える白い獣に、銀色の怪物は容赦なく冷徹に言葉を浴びせる。その中でふと、自分の事を指しているらしき呼び名の違和感に獣は気付き、同時に不思議と震えが治まった。
「君もボクをそう呼ぶんだ。でも、違うよ。ボクはアブソル。ねえ、ここはどこ?みんなは?」

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